お気に入りのコーヒー屋さんを見つける方法

ここ2年ほどで、東京ではまさにサードウェーブと言える、大きなコーヒーのブームがありました。ブルーボトルが話題を呼び、清澄白河の店舗には何時間も並ぶ行列ができました。後にも先にも、コーヒーを飲むのにあんなに並ぶことはきっとないでしょう。コーヒーはそもそも、そんなに並んで飲むものでもない、というのは誰もがきっと賛同してくれることだと思いますし、実際の所、個人的にはブルーボトルにのコーヒーを口にしてみて、並ぶ価値があったとは思えませんでした。
ブルーボトルのコーヒー、そしてそれが代表するサードウェーブのコーヒーの美味しさについては、好みの問題もありますので、ここでは一旦置いておきましょうか・・・。

しかし、そのウェーブに半ば飲み込まれていた私が、その列で目にした光景は私には比較的ポジティブに映りました。そこにはコーヒーに特にそれほどの興味はないけど、「新しくて美味しいもの」が好きな人たちがたくさんいました。ご近所に住むマダムが、友達とおしゃべりしながら、「あのゲイシャって豆はなんなんでしょうね」とか「私はコーヒーは温かいのが好き」とかなんとか言いながら待っているのです。今まで、コーヒーを喫茶店やコーヒースタンドで飲むのは「ツウ」の人だったのに、一気にコーヒー界の裾野が広がりました。私は革命を目にしたのだと思いました。

今までも日本の珈琲は美味しかったけれど、それはそれぞれのお店がそれぞれに頑張っていたのであって、「ツウ」はどんどん「ツウ」になるけれど、その数は大きく増えることはなかったように思います。しかし、革命はその裾野を大幅に広げてくれました。裾野が広がれば、さらに商売の機会も増えます。そしてこのウェーブは今のところ、素敵なウェーブです。(特に変な意味をもたせているわけではないのですが、私は基本的にネガティブなところがあるので「今のところ」とさせてください。)ここで念のため、何が「サード」なのかというところを今更ながら確認しておきましょう。

・ファーストウェーブ=19世紀後半〜1960年代 大量生産・大量消費のコーヒーの時代。

・セカンドウェーブ=1960年代 シアトル系コーヒーチェーン(スターバックスなど)の時代。深煎りで高品質の豆を使ったコーヒー、アレンジコーヒー(カフェオレなど)が主流になります。

・サードウェーブ=コーヒーの生産地への意識が高まります。コーヒーのトレーサビリティ、豆の特徴や抽出方法などにこだわった、スペシャルティコーヒーが主流に。ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れることが主流になり、豆をフルーツのように考え、その特徴を活かすために浅く焙煎されることが多いです。

 

つまり、サードウェーブとは、コーヒーの生産者にとっても販売者にとっても消費者にとっても素敵なウェーブなはずなのです。裾野が広がることは、大量生産大量消費を今までは意味していましたが、今回はそうではありません。真っ当なものを作り、真っ当な価格で取引する、もしくはしようと試みる、という構図はコーヒー以外の業界ではまだまだ成り立っていないのです。

話を戻しますと、こうして、東京はコーヒーの街になりました。そして、もうまるで美容室のようにコーヒースタンドはまだ増え続けています。みんなが髪を切るように、みんながコーヒーを飲むようになるのでしょうか。この先どうなっていくのかはわかりませんが、半ば飽和状態の気もするコーヒー業界で自分のお気に入りのコーヒー屋さんを見つける手助けになればと思い、幾つかの指針と代表するお店を紹介したいと思います。

お気に入りのお店の見つけ方に明確な指針を持っている方はどれほどいるでしょうか?正直、そんなものは言語化していなくても、ただなんとなく通勤途中にあったお店に通い始めて、気がつけば数年といったこともあるでしょう。しかし、今はインターネットにほとんどのお店の情報が上がっていますので、条件を言語化していれば、お気に入りのお店が見つかる可能性が高いです。もしかしたら通勤しているいつもの道とは一本違う道に素敵なコーヒー屋さんが見つかってしまうかもしれないのです。

 

お店の魅力の捉え方は何通りもあると思います。私は、「店舗の雰囲気」×「スタッフの雰囲気」×「商品の魅力(価格)」で考えることが多いです。「自分の住居からの距離」などもポイントとなる場合もあるでしょう。今回は多くの人に向けた記事なので、まずお店の立地に関しては除外して考えます。今まで、お気に入りのお店に出会ったことがある人は、どういうポイントが気に入ったのかを考えてみると良いかと思います。今まで、特にお気に入りのお店に出会ったことのない人は、一度この軸に当てはめて、幾つかのお店を見てみてください。「もっと店内が広い方がいいな」「スタッフがもっとカジュアルに接客してくれたらいいのに」「もうちょっと商品に種類があればいいのに」などなど、各お店に要望が出てくると思います。その要望に限りなく近いお店が、お気に入りのお店になる可能性が高いわけです。そんなお店がすぐに見つかれば、それはとってもラッキーですが、この軸をもとに幾つかのお店に通うことで、どんどん理想のお店に近づいていくことができるはずです。あとは、そのお店が通える場所にあるかなどの条件を照らし合わせていく、まるで不動産探しのようですね。でも、そんなに難しく考えず、せっかく東京都内にこれだけのコーヒー屋さんをができたわけなので、休日の息抜きついでに幾つかお店を巡ってみてはいかがでしょうか。
ということで、今回は私なりの分類方法で、幾つかオススメのお店を紹介したいと思います。

 

1、HORIGUCHI COFFEE(世田谷店、狛江店)
まずは、大御所から。ネットショップなども幅広く展開しているHORIGUCHI COFFEE。生産者との関係性を大切にすることをずっと説いてきた、スペシャリティコーヒーの先駆けとも言える存在です。代々木上原にコーヒー豆の販売専用のお店がありますが、カフェ併設なのは世田谷店と狛江店です。店内の雰囲気は清潔でオシャレですが、席数も他のコーヒーショップと比較すると多いので、開放的な空間でとっても入りやすいお店です。若者だけでなく、近所のおばさまやおじいちゃんおばあちゃんも店内でコーヒーを飲んでいます。スタッフの人たちは皆さん感じが良く、明るく接客してくれます。ここは良い意味で無難なお店というか、「ツウ」が通う店という雰囲気は出していません。しかし提供する商品のクオリティはかなり高いです。様々なカフェやレストランに豆を下ろしている実績もあり、さすが、と言える美味しさです。また、オリジナルブレンドやシングルオリジンのコーヒーを味ごとにわかりやすく図にして説明してくれており、自分の気に入ったコーヒーに出会える確率が高いと思います。

 

2、猿田彦珈琲(恵比寿本店)
本店の恵比寿以外にも、都内のデパート、駅周辺に精力的に店舗拡大をしている猿田彦珈琲。こちらもHORIGUCHI COFFEEに続いて、非常に間口が広い雰囲気をもつお店です。缶コーヒーをプロデュースしたり、新しいことにもどんどんチャレンジしているようです。恵比寿本店はそれほど広くはない店内ですが、立ち寄りやすい場所にありますので、いつも人が多いです。雰囲気はHORIGUCHI COFFEEよりももっと若者っぽいオシャレさがありますが、それもトンがった感じではなくてとてもカジュアルです。スタッフの人も比較的ドライな感じで、(アルバイトの人でしょうか?)可もなく不可もなく、あまり親密にしてくるのが好きでない人にはいいかもしれません。私は個人的にはコーヒーは特筆して美味しいと感じませんでしたが、決してクオリティが低いわけではありません。

 

3、CAFE KITSUNÉ(表参道)
フランスのファッションブランドMaison Kitsunéがやっているお店です。入り口は竹の垣根に囲まれ、”和”を基調とした空間になっていて、とってもおしゃれな雰囲気です。店内はアート空間のようでもありますが、カウンターでさっとエスプレッソやカフェラテを飲んでいくような利用を想定されていると思います。店内にあるスレイヤーというエスプレッソマシンは日本でもあまり扱っているところのない上質なマシンで、やはりコーヒーの味は素晴らしいと感じました。お店の人もとてもオシャレで、良い意味で無愛想な感じが、その空間を引き立てます。表参道にあることもあり、買い物途中のマダムをよく見かけます。ここは、先に挙げた2店と比較しても、かなりトンがったお店なので、そういった空間を楽しみたい人にオススメです。

 

4、4/4 season’s coffee オールシーズンズコーヒー(新宿)
2015年に新宿にできたコーヒー屋さんです。以外と美味しいコーヒー屋さんがなかった新宿駅に一体どんなお店ができるのだろうと思って行ったみたところ、とってもアットホームな雰囲気の素敵なお店でした。店内はシンプルな作りで、おしゃれではありますが、気取らない雰囲気です。夫婦二人でやっているようで、常連さんとオーナー夫婦でおしゃべりしている感じは、なんだか温かな光景でした。私がいた数十分の間にも、老若男女の常連さんらしき人々がやってきていましたので、通いやすい雰囲気であることは間違いないと思います。コーヒーは他店に比べて特筆して美味しいということもなかったのですが、いろいろ説明しながら提供してくれたり、また行ってみたくなるお店でした。

 

5、NOZY COFFEE(三軒茶屋)
シングルオリジンコーヒーの先駆けとして美味しいコーヒーを提供し続けるNOZY COFFEE。店内はおしゃれな雰囲気ですが、日の光が入る、素敵な空間です。スタッフの人も感じが良く、たくさんのコーヒーについて説明し、私の好みを聞いてきてくれたりしました。コーヒーもとっても美味しく、説明を聞いたことで、「今度はオススメしてくれた、あっちのを飲んでみようかな」などと思いました。店の近くには世田谷公園があり、向かいは全国的に有名なパン屋「シニフィアンシニフィエ」ですので、散歩がてらにこのエリアに行くのが大好きです。

たくさんのコーヒー屋さんがある中で、5店舗紹介してみました。全てが私のお気に入りだから勧めるというわけではなく、「店舗の雰囲気」×「スタッフの雰囲気」×「商品の魅力(価格)」で捉えた時に特徴が出やすいお店を紹介してみました。

まずはどこかのお店に訪れて、そこから、どんどん自分の好みを探していくスタート地点となればと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。

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