コーヒーの日とコーヒーの香り

10月1日は「コーヒーの日」ということを知っていますか?


「コーヒー年度の始まりであり、コーヒーの需要が高まる頃」という理由からそうなったようです。
秋の澄みきった空気の中で飲む一杯は確かに格別なものがあるかもしれません。
ところで、私たちがコーヒーを「美味しい」と思うとき、味覚とともに欠かせない要素になっているのが「香り」です。今回はそんな「香り」についてみていきたいと思います。

実は、コーヒーの香りには段階があり、それぞれの段階で異なる香りを持っていて、加工される過程で香りが変化していくと言ってもいいくらいです。
各段階での香りは、品質を見極める為の重要な評価基準にもなっています。

1.生豆の香り
焙煎する前の生豆の段階では、コーヒーと言われて思い浮かべる芳ばしい香りはまだありません。
どちらかというと植物的な青い香りがします。
この段階の「カビ臭」や「発酵臭」は焙煎後の抽出液になってもその香りが味わいに反映されます。
その為、これらは品質チェックで「よろしくない香り」「不快な香り」と評価されます。

2.焙煎豆を挽いた時の粉の香り
コーヒー豆が一生のうちで最も香りを発する瞬間が、焙煎された豆がミルなどで粉砕され、粉状になった時です。これは、私たちが香気成分の中でも特に揮発性の高い成分を感じているからです。

3.抽出後の液体の香り
一番たくさんの人が接しているのがこの段階ではないでしょうか。
コーヒーを入れ、注いだカップに顔を寄せた時にふわっと漂う何ともいえない良い香りで、
お湯の熱によりコーヒーの持つ成分がほぐれ、気体となって立ちのぼる時に発生する香りです。

4.抽出したコーヒーを口に含んだ時の香り
コーヒーを一口飲んだ時に口の中に広がる味わいと共に鼻を通ってゆく香り、これが香りの最終段階です。
ナッツのような、カラメルのような、麦芽のような、柑橘類のような等々、色々な言葉に置き換えられ表現されます。
「コーヒー鑑定士検定教本」(全日本コーヒー商工組合連合会発行)の中では、豆を挽いた時の香りを
「フレグランス(fragrance)」、抽出後の液体の香りを「アロマ(aroma)」、口に含んだ時の香りを
「フレイバー(flavor)」と分けて表現してあり、いずれも、香りや風味、芳香などを指す単語になっています。

※ちなみに、「フレイバーコーヒー」とはコーヒー豆を焙煎する時に、香料などで香り付けしたものの事です。
1980年代にアメリカで人気が高まり広がっていきました。チョコ系、ナッツ系、シナモンなどスパイス系などの
様々なフレイバーがありますが、根本的に、コーヒー自身の持つ香りとフレイバーコーヒーの「フレイバー」とは
意味が異なります。

そもそも、香りとは何なのかとうことになるのですが、コーヒーのあの魅惑的な香りは、コーヒーの花やコーヒーの実からは
漂ってきません。コーヒーの香りは、焙煎し化学反応が起こることで初めて生まれます。
生豆の中に存在する成分である糖・アミノ酸・トリゴネリン・クロロゲン酸などが、熱が加わることで反応を起こし香気成分を形成します。
コーヒーの持つ香気成分は800種類以上報告されており、焙煎方法、焙煎時間などの違いが香気成分の違いとなり、様々なコーヒーの風味となるのです。

「飲みたい!」と強く思わせるパワーを持つコーヒーの香りがもしも無かったとしたら、これほどまでに愛される事は無かったかもしれません。
近年の研究では、「コーヒーの香りがある場合は、無臭の場合より脳の情報処理能力が高まっている」「コーヒーの香りを嗅いだ時、リラックス度合いを
示すアルファ波が増える」などの結果が報告されています。
「リラックスしつつ、頭もすっきりリフレッシュできる」ということで、仕事の合間や試験勉強中の一息つく時にコーヒーを飲みたくなる理由がここに
潜んでいるのかもしれません。

品質の良いコーヒーを正しく抽出すれば、淹れたてよりも味は劣りますが、冷めても不味くなることはありません。
それでも、冷めてしまうことで香りが感じにくくなり、美味しさが半減してしまうことはあります。
「コーヒーの適温を保つこと」が「コーヒーを美味しく飲むコツ」になるということです。
香りを楽しむ為に、自宅で出来る工夫をまとめてみましょう。

1.保温力の高いカップを使う
底の部分が厚めのカップを選ぶようにしましょう。

2.器は温めて使う
カップだけでなく、受け皿(ソーサー)も温めることで保温力がアップします。

3.カップに蓋をする
蓋付きのカップにすると香りが失われにくくなる事がわかっています。

コーヒーが美味しいと感じられる温度の限界は60℃です。実験の結果、カップを温めていない場合コーヒーの温度が60℃まで下がるのは
抽出後7分だったのが、あらかじめカップを温めていた場合、2分長い9分間温度をキープできる事がわかりました。

コーヒーをより美味しく感じる為にも、感覚を研ぎ澄まして、カップから漂ってくる香りに気持ちを合わせてみてはどうでしょう。
まぁ、香りに気をとられてコーヒーが冷めてしまっては意味がないのでご注意下さい。

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