コーヒー嫌いでした

一般に「お茶しよう」と言ってよく飲まれるのがコーヒーですね。
世の中には豆を挽いて入れるものから缶コーヒーまでたくさんのコーヒーがあります。
近頃は1杯からでもカフェの味が出せる本格的なコーヒーメーカーなど様々なものが出ています。
わたししばらく前まで、コーヒー嫌いでした。
私は、小さい頃、朝食でパンといっしょに、あるいは風呂屋へ行きあがった後などにコーヒーに牛乳を入れた、いわゆる「コーヒー牛乳」などをよく飲んでいました。
「甘くておいしい」という感覚の飲み物を喜んで飲んでいたものです。

もちろん普通にコーヒーも飲んでいました。
インスタントのコーヒーに砂糖もミルクもいれて何の抵抗もなく飲んでいました。
コーヒーは普通に生活の中にある普通の飲み物でありました。

しかし、大人になり酒を飲み始めたりして、だんだんと味覚が変わってゆき、また、いろんなところでおいしいものを食べて舌が肥えていくうちに、舌の感覚も変わって行ったのでしょう、味覚に関して敏感になっていきました。
するとコーヒーを飲んだ時の後味がすごく気持ち悪く思うようになったのです。
もちろんそれまで飲んでいたのはインスタントなのでコーヒー自体の味もさほどおいしいものではなかったのもあり、「コーヒーとは後味の悪いだけの飲み物」というふうに感じ、だんだんと遠ざかって行ったのです。

そのままでは私は一生コーヒーを飲むことは無かったかもしれません、しかし、転機があったのです。
25歳の時の事でした。
営業をしていた私は取引先へ行ったときに、喫茶店からコーヒーの出前をとっていただきました。
当然のことですが「私はコーヒーが嫌いなんで結構です。」とは言えず、砂糖もミルクも入れず嫌々カップを口元に運びました。
するとどうでしょう?今まで経験したことのないいい香りがするではありませんか!
「なに?この香りは!今までのコーヒーと違う!」と驚きました。
そして何の抵抗もなく、と言うか、とびつくように飲みました。
すると今までのインスタントコーヒーとは全く違う、深くてやさしい味がしたのす。

「喫茶店ではこんなおいしいコーヒーはを出す店があるのか?」と感動したのでした。

それから私はコーヒーを飲むようになったのか?といえば違います。
その喫茶店のコーヒーがおいしいのだと思っただけだったのです。
それからおよそ15年後の事です。

友達が高層マンションを買ったからパーティをやるというので準備の手伝いに行きました。

一通り手伝いをして「お茶しない?」と友達が取り出した袋はコーヒー豆の袋でした。
コーヒーに興味がない私は、「へぇ家庭でも豆からコーヒーを入れる人もおるんや」っと思いました。
そして言われたようにコーヒーミルを回して豆を挽きました。
するとすぐに、漂ってくるいい香り。うっとりするような香りでした。
香りを楽しみながら豆を挽きました。

フィルターへ挽きあがった豆に友達がお湯を注ぐとまたすぐにいい香りが部屋いっぱいに拡がります。
「ん?この香りは記憶にあるぞ!」と15年前のコーヒーを思い出しました。
フィルターからすべて湯が落ちきってカップに注がれたコーヒーを口に運びました。
期待通り、とてもいい香りがしました。
口の中に広がる深く、優しい味を感じてやっとわかりました。
15年前のコーヒー、あれはあの喫茶店がおいしいだけではなく豆でいれるととてもおいしいのだ。
それ以来、私は好んでレギュラーコーヒーを飲みにその友達を訪ねました。

やがて自分の家でもおいしいコーヒーを飲みたいと思いがだんだんと高まりコーヒーメーカーを入手しました。
コーヒーミルが無いので袋入りの粉コーヒーを買いました。
「これで我が家でもおいしいレギュラーこーが入れられる!」胸をはずませながらタンクに水を入れます。
フィルター紙を丁寧に折り、スプーンで粉を入れます。
「何杯?」3杯分作るので3杯入れよう。
でもなんか少ないような気がする。
山盛りで3杯入れました。
そしてスイッチオン!

しばらくするとぽたぽたと琥珀の液体が滴り落ちてきます。
だんだんと広がる香りに胸が高まってきます。
やがてコーヒーがポットに満たされて出来上がりました。

カップに注ぎ、一口。
「うん、おいしい。でもちょっと濃かったかな?」
その後、粉の量を加減しながら試行錯誤していくうちにあることに気づきました。
「あの味が出ない・・」
そうです。期待していたほどおいしくないのです。
少し高いコーヒーを買ってきてもあの味と香りがでないのです。

私は考え込みました。
25才の時のコーヒーは出前で作るところを見ていないのでわからない。
すると友達の家で飲んだ、あのコーヒーとの違い・・・
そうか豆を挽いたか、粉で入れたかの違いではないか?
密閉した袋で売っているし、同じ豆で買うのだから味に変わりはないだろうという思い込みをしていたのでした。

いくら密閉していても挽いて時間がたてば香りがとぶ、酸化して味も落ちる。
それを見逃していたのでした。
頭の中で「ぴかっ」と電気がともったようでした。

そして私は豆を手に入れました。
ミルも選びました。
これはいろんなものがあり選ぶのも楽しかったです。

豆もミルもそろいました。
「今度こそ!」
期待を込めてミルに豆を入れて回しました。
「カリカリカリ」心地よい音とともにいい香りが広がります。
あの香りです。
フィルターに豆を移し、水を入れてスイッチオン!

お湯が注がれて広がる香りを楽しみました。
いい香りです。
待ちきれません。
やがてポットが満たされました。
カップに注ぐ手も震えてるような気がします。
カップを口にすると広がるのはあの香りです。
一口含んで感じる深くて優しい味は友達の家で飲んだのと同じような味です。

「ふー」私は満足げに息を吐きました。
遠回りしましたが、やっとあの時のコーヒーの味を見つけ出すことができました。

思い返せば25才の喫茶店の出前コーヒーが無ければ今こうして素晴らしいコーヒーの魅力を知る事なしにいたのだろうか?
そして何をのんでいたのだろうか?
色々考えをめぐらします。

いい香り、いい味、そしてほっとする時間を与えてくれるコーヒーは間違いなく長いつきあいになる友となるでしょう。

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