ジャワコーヒーに媚薬効果⁇

を救ってくれたもの “媚薬のような効果がある食べ物って聞いたことはありますか?お酒、チョコレート、卵、蜂蜜、牡蠣、イチジク、きゅうり、バナナ、コーヒー、松の実、アボガド、唐辛子など色々とあります。普段から口にするものが多いのでなんだか不思議ですよね。
もちろん媚薬効果があると言われる理由がそれぞれにあるのですが、毎日のように口にしても実感できるものではありません。

 

実は私は恋人と夜を共にしてもあまり感じることができず、長い間不感症ではないかと悩んでいました。
高校時代に初めての彼氏ができて体の関係になってから2人目3人目と恋人が変わってもどうしても感じることができずにいました。それどころか経験を重ねる内にそういう事をしている時間が苦痛に感じるようになり、3人目の恋人には私が行為に乗り気でない事を責められてお別れしたくらいです。
一度たりとも満たされることもないのでこれはもう相性というよりも自分のせいだと思い至り、思い切って女性向けのヘルスを利用してプロに依頼してみたのですがやはりだめでした。

 

そんな私でもいいと言ってくれたのが今の彼です。体の関係はなくてもいいから付き合って欲しいと言ってくれてお付き合いがスタートしました。
触れ合うこと自体は好きなので手を繋いだりキスをしたり体をくっつけたりはします。付き合い始めたばかりの時はそれで幸せでしたが3ヶ月を過ぎた頃には彼がその先を求めたいのを我慢しているのがわかってしまいました。
女として求められれば嬉しい。でもまた感じることができなければ前の恋人のように責められてしまうのかもしれないと悩んで彼に相談した結果、試してみることに。
行為自体はできましたがやはり私の体は反応してくれません。どうしてもだめなんです。
そんな中で私は媚薬効果があるという食べ物を知り、彼とのデート中には出来るだけ最初に書いたようなものを口にするように心がけました。
大好きな彼の求めに応えたいし私も女としての喜びを感じてみたかったんです。でも残念ながら何も変わることはありませんでした。

 

そんな事をしているうちに彼から近くの温泉への一泊旅行に誘われました。場所が変われば気分も変わるかもしれないからと。
実は旅行先で観光した内容をあまり覚えていません。とにかく彼に嫌われたくない今夜こそ彼の求めに応じなければと思いすぎてプレッシャーに押しつぶされそうになっていたんです。
夜に温泉で温まったあとムードを盛り上げる為にバラのアロマキャンドルを付けて一緒にお酒を飲みました。甘い時間が流れていても私は不安でいっぱい。ここまでしてもらったのにだめだったらどうしよう?今度こそ呆れられるのではないか?体が自然と強張り何かのテストを受けているかのような心境だったんです。その緊張は彼にもばれてしまい行為はせずに手を繋いで眠るだけとなりました。
2日目は申し訳なさでいっぱいでした。普通の恋人同士なら甘い一夜を過ごせていたはずなのに私のせいでまた我慢させてしまったんですから。
あっと言う間に夕方近くなりもうそろそろ帰ろうかと移動していると、コーヒーフェスというイベントを見つけました。それはさほど広くない広場にいくつものテントが張られ、世界中の色々なコーヒーの試飲や購入ができるというものでした。私は媚薬効果のある飲み物の中にコーヒーがあった事を思い出し、色々なコーヒーを飲めば少しは効果が出るかもしれないと飛びつきました。
入り口で10杯分の試飲券をもらいいざ会場内へ。まるで渦巻くように濃厚なコーヒーの香りと賑わう人でその会場だけまるで別世界のよう。私と彼はゆっくりとテントを覗き、そこに書かれている説明に目を通しながら試飲するコーヒーを探しました。
親しみのあるブラジル産のコーヒーやジャマイカのブルーマウンテン。産地の説明を見てこの時初めてモカの産地を知りました。精製や焙煎方法についての説明や器具の展示もあり知らない事だらけでびっくりしました。
コーヒーに媚薬効果があるというのはカフェインが交感神経を刺激するからだそうです。それならと一番濃いコーヒーを飲むつもりでいたのですが色々な説明を見ていると一言に“濃い”と言ってもどれを選べばいいのかわからなくなってしまいました。
結局飲んだことの無い珍しいコーヒーを中心に味見して帰路につきました。

 

家へ向かっている途中で彼の家へ寄ることになりました。部屋に誘われてから、もしかしたら旅館での出来事に呆れ果てて振られてしまうのではないかと怖くて仕方ありませんでした。
部屋に入ると少し待っているように言われ彼はキッチンに。お茶なら私が入れるよと声をかけてもいいから座っててと言うだけ。なんだか様子がおかしい。やっぱりこの後別れ話をされるんだと泣きそうです。
少しするとなんだかいい香りが。コーヒーを入れてくれているみたいだけどなかなか戻ってきません。何してるのかな?と覗きにいくと慌てて部屋に押し戻されてしまいました。まさかお別れの一杯?と、私の頭の中はこの後される(と思っている)別れ話の事でいっぱいに。
少しして彼が2つのカップを手に静かにゆっくりと部屋に入ってきました。揺らさないようにすり足をするかのように歩き、両手のカップをそっとテーブルに置きます。それと同時に大きなため息を一つ。
あぁやっぱり私に疲れ果ててしまったんだ。どんな風に別れを切り出されるのだろうかと身構える私に、彼は明るくコーヒーを勧めます。ゆっくりと上の方を啜ってみてと。
そのコーヒーを口に含むと濃厚な苦味が舌を刺激しました。苦いのに後味がよく美味しい。少し香ばしさと独特の甘さも感じます。
私が二口、三口と飲み進めるのを満足そうに眺めた彼は嬉しそうにコーヒーの粉が入った袋を差し出してきました。それは旅先で行ったコーヒーフェスで購入したもの。私へのお土産だと言うのです。
飲んでいるのはジャワコーヒー。インドネシアのジャワ島で栽培されたコーヒーだそうです。ものすごく細かく挽かれたもので、インスタントコーヒーのようにカップに粉を入れお湯を注いだ後粉が底に沈むまで待ってから飲むんだと教えてくれました。
コーヒーフェスの会場で私が媚薬効果を求めて濃いコーヒーを探しているのに気付いた彼が私に勧めるのにいいコーヒーはないか探したところ、コーヒーの中でもジャワコーヒーに媚薬効果があるというのを見つけたそうです。そこで私の為にこっそり購入してくれたというのです。
これはエスプレッソなどに使われる粉だけど、沈殿させる飲み方なら家でも楽しめるとフェスの会場で教えられたから試してみた。美味しく飲めるならよかったと。
別れ話をされるとばかり思っていた私は驚きました。彼が私の為に調べてくれたこともコーヒーを購入していたこともまったく気付きませんでした。
言葉を失っている私に彼が続けました。
自分の為に色々と努力してくれて嬉しい。けど、それが目的で一緒に居るのではないから頑張りすぎなくてもいい。コーヒーは眠気を覚ましたり元気になる飲み物かもしれないけど、それと同時に一緒に楽しんだりほっと一息つける飲み物でもある。だから一人で思いつめないで一緒の時間を楽しもう。俺はそうやって楽しく過ごせる時間が何よりも大切だ。
せっかくの旅行だったのに私は楽しめていませんでした。夜の事を心配して後悔してばかりで彼との思い出をちゃんと作れていません。彼の気持ちを考える余裕も無かった事が恥ずかしく申し訳ありませんでした。
そもそも今回の旅行は気分が変わるかもしれないと誘われたのですが、それは気分が変われば夜の行為がうまく出来るようになるかもしれないという意味ではなく、最近悩み込んでいる私の気分転換になって気楽に楽しめるのではないかというのが目的だったと言われました。

目の前のカップを両手で包むと暖かな熱が伝わってきます。口に含めば深みのある風味が口の中に広がり、苦いのに飲みやすくついもう一口と飲みたくなる。彼に見つめられながらジャワコーヒーを飲む度に張り詰めていた気持ちが緩んでいくのを感じます。
コーヒーはほっと一息つける飲み物でもある。その通りでした。苦味があっても心地よくもっと飲みたくなる不思議な飲み物。
彼は今の私をそのままで受け入れてくれる素敵な人です。私の悪いところもわかった上で傍にいてくれる人。

その日、私は彼に身を任せました。彼は緊張して強張っている私の体を優しく抱きしめ長い時間をかけて撫でていました。口や頬やおでこや手など色々なところにキスをして、私の体温が心地いいと笑います。今はこうしているだけでもいいんだとそれ以上は何もしませんでした。
無理に行為をしなくてもいいんだ。気持ちよくならなければいけないと身構えないでいいんだ。私は多分初めて素直に彼の腕の中で甘えることができました。
前の恋人と今の彼を同一視して怖がっていたのはどれほど失礼な事だったのでしょうか。彼に向き合わず目を閉じていただけでした。
彼が入れてくれたジャワコーヒー。カップの底に沈んだコーヒーは飲み込む必要がないものです。でも、その粉が静かに沈むのを待つからこそあの味を楽しむことが出来ます。いらないものだと切り捨てようとせず上手く楽しむのも大切なんだと思います。

そんな事があってから二週間後。私は始めて女の喜びを知りました。
また彼が入れてくれたジャワコーヒーを飲んだ後、何も意識せず本当に自然とそういう行為を行い始めての感覚を覚えたのです。
これはジャワコーヒーにあるという媚薬効果のおかげでしょうか?それとも、私が彼を信頼しリラックスした状態だったからでしょうか?今はまだわかりませんが、このジャワコーヒーに出会わなければあの日コーヒーフェスに行かなければ私は今もずっと身構えたままで彼の気持ちにも気付かず一人悩んだままだったのかもしれません。
あ、もちろん私が感じる事ができるようになったのは彼の愛情が一番の理由なんですけどね♪

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