レギュラーコーヒーの魅力

日本国内だけでも、数多のコーヒー愛好家さんがいらっしゃる事でしょう。
専門家並みに知識が豊富であったり、実際に喫茶店や専門店で働いていたり、
その愛し方も様々かと思われます。

また、専門的な知識はなくとも、コーヒー独特の香りと味を愛して止まず、職場や家庭での
“ほんの一時”の際には必ずコーヒーを淹れて飲んでいる…という奥様や旦那様も多い筈。
とはいえ、インスタントでもレギュラーでも、コーヒー本来の旨味を最大限に引き出した”最高の一杯”というのは、前述したような専門の職に就いている方でもない限りは簡単には淹れられない…という所がまた、コーヒーの奥深さであり、難しさでもあります。

美味しいコーヒーは専門店や喫茶店へ行かなければ味わえなかった一昔前と違い、現在では様々なメーカーから数多くのコーヒーが販売されており、専門店だけでなく、スーパーや
ドラッグストア等々の最寄りのお店に当たり前のように置かれるようになりました。

お湯さえあればどこででも味わえるインスタントコーヒーや、一人分のコーヒーを手軽に淹れられる
ドリップタイプのコーヒーなどが棚に並ぶ中、それでもやっぱり、コーヒー豆が袋一杯に詰まった
レギュラーコーヒーの特別感には敵わないものがある――と、個人的には思っていたりします。

ほんの一手間を掛ける時間があればすぐにでも美味しく飲めるインスタントコーヒーと違って、
レギュラーコーヒーは二手間も三手間も掛かる上に、場合によってはそれなりに時間も盗られます。
ろ過用のフィルターやドリッパーなどを揃えておく必要がありますし、豆そのものを購入した場合は
まずこれをコーヒーミルで挽く所から始めなければなりません。

豆の挽き方も様々で、一粒がお砂糖やお塩のそれに近い”極細挽き”から、一粒がザラメより一回り小さい程の
“中挽き”など、使用する器具に合わせて挽き具合も考えなければなりません。
とはいえ、市販のレギュラーコーヒー(粒状)は、上記で簡単に紹介した中挽きよりも一回り小さな粒に
仕上がっている”中細引き”のものが殆どなので、高級な器具を新たに買い揃えずとも、安値で買える
ドリッパーとフィルターさえ用意しておけば問題無く淹れられます。
そしてやっと豆を挽いた後でも、抽出時に使用するお湯の温度や蒸らしの有無など、細かな点まで
拘らなければ美味しい一杯にはならないものです。

特に、旨味やコクなどといったコーヒー豆の成分を引き出す効果のある”蒸らし”は、全行程の中でも一番重要な所です。
フィルターに掛からないよう、粉の中央部に少量のお湯を注いだ後で、二十秒から三十秒の間はそのまま放置して蒸らしておく事が、美味しい一杯を淹れる秘訣でもあります。
この蒸らし時間もまた割とシビアで、ほんの十数秒でも誤差があると抽出後のコーヒーの風味が変わってしまうので、拘りたい方はキッチンタイマーなどを利用するのもいいかもしれません。
また、ドリッパーやサーバー、コップなど、使用する道具はお湯を沸かしている間に温めておくと、コーヒーが冷めにくくなります。

蒸らし終えたらいよいよお湯を注いでいきますが、適当にダバァと注いだのでは、美味しい一杯を
淹れる為の今までの準備が全て台無しになってしまいます。
テレビや雑誌などでもよく言われていますが、フィルターの中央部分から渦を描くようにゆっくりと
細くお湯を注いでいくやり方が基本となります。とはいっても、外側へ大きく描いていく方法ですと
逆に風味が失われてしまうので注意が必要です。

ドリッパーから滴り落ちるコーヒーの量に合わせてお湯を注ぐタイミングを測る必要もあったりします。
サーバーを使用しない場合、抽出したコーヒーが一滴一滴落ちていく様子を常に確認できるよう、
プラスチック製のドリッパーと、耐熱ガラスのコップを使用する事をお勧めします。

冷たいコーヒーを淹れる場合も手順は同じ。
コップいっぱいに氷を入れて一気に冷やす事と、氷が溶けて薄まる事を考慮して、フィルターに入れる
粉の量はやや多めにしておく事がポイントになります。暑い夏にはたまらない一杯となるでしょう。

その手間の掛かりようと価格から、最近はお湯を用意するだけで手軽に味わえるインスタントものや、スティックタイプの粉末状のカフェラテやカプチーノなどといった商品の方が人気だという話を偶に聞きます。
かく言う私も、時間がない時やドリップが面倒臭い時の為にこれらの商品を何種類かストックしていたりします。

しかし、それらを入れたコップにお湯を注いで一口飲むと、その度に豆を挽いた時の香りと、抽出した一杯を口にした時の苦味とコクを思い出しては、
『ああ、やっぱりレギュラーコーヒーはいいなぁ』
と改めて恋しく思ってしまうのです。
そしてまた、手間が掛かると分かっていながら器具を用意して一から淹れて飲みたくなる――。

レギュラーコーヒーにはそれだけの価値と魅力があるものだ、と私は常に思っています。

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