札幌とコーヒーの関係

私は数年前に大阪から北海道の札幌市に引っ越してきた。夏場に最高気温が28度で「暑い、こんなに暑いと融けてしまう」とのたまう道民や、冬場にどう足を踏ん張っても滑るであろう氷の路面(もちろんつるりと転んだ)など札幌に来てカルチャーショックを受けたことは多々ある。テーマであるコーヒーと絡めて、ご紹介していきたい。

まず札幌に住んでこの町を知っていきたいと夏は自転車で、冬は徒歩でうろうろしながら街ぶらしている。
うろうろしていて気付いたことがある。あくまで体感ではあるが、私のかつて住んでいた町と比べ、多くて驚いているものがある。

動物病院とコーヒーショップだ。

私の住んでいる場所の徒歩圏内に動物病院が4件、コーヒーショップは6件ある。
喫茶店とかカフェといわずにコーヒーショップといったのはなぜかというと、豆の店頭販売のみ行っている店も多くそれもカウントしたかったからだ。この豆の店頭販売店も異常に多い印象がある。そして、どこにでもいる年配の主婦がこだわりのブレンドを知っていてご指名買いをしているのだ。コーヒー豆を専門店で手に入れることが当然のように日常に組み込まれているようだ。

私はというとコーヒーは好きだが、スーパーマーケットで売っているフィルター付きのUC○などの大量生産品のコーヒーで十分満足しているというのに・・

動物病院に関してはペットホテルやグッズショップ、犬の美容室なども合わせればもっと数は増える。ペットの数が多いからそれだけ近距離でも共倒れせず商売ができるのだろうか。ぶつぶつ。

犬猫とコーヒーを愛する町、札幌。

試される大地(・・は関係ないか)

この二つの共通点はなんだろう?札幌の冬の厳しさに関係があるような気がする。
推察するに、家での生活を充実させるのが札幌の過ごし方なのではないであろうか。
こと冬の雪深さ、前述したように足元が悪く近距離の外出もためらうくらいの環境。札幌で知り合った人に冬の休日はどこに遊びに行くのかと聞くと「冬は基本出かけない」という返答が帰ってくるほど、春がくるまでひきこもる生活が続くようだ。

となると家の中でいかに楽しく過ごすかに思考が向くのは自然な流れだ。

つまり、こうだ。

いつもより少し早く仕事を済ませ家路についた。氷点下5度、自然に駅から自宅までの足が急ぐ。玄関で防寒具を脱ぎリビングに入ると暖房で温められた室内に顔のこわばりがゆっくりほどけていく。妻の得意料理マカロニグラタンで空腹を満たすと、白ワインも手伝って身体が内側からも温もり、シャツ一枚という軽装にも関わらすうっすら汗ばんでくるほどだ。

 

室内を駆け回るやんちゃな愛犬ジョン、ひざの上で丸まるおしゃまな愛猫ターニャ・・何気ないいつもの幸福に包まれた私は少しの間うたたねをしていたようだ。ふと顔をあげると鼻に抜けるコーヒーの香ばしいかほり・・妻が微笑みながらこう言った。「さあお茶にしましょうか」

・・・これや!これをやってるんやな!
せやから動物病院とコーヒー屋が多いんや。
全部お見通しや!

くだらない妄想を繰り広げ、ひがんでしまったことが恥ずかしい。
でもあながち間違いでもなさそうだ。

あと道民との会話で「!」と思うことがある。
北海道民は北の端に位置していながら、訛りがあまり感じられない。道南(函館とか)の方はやや東北の影響を受けているようだが、札幌に関してはほとんど標準語のイントネーションに近い言葉で話している。
北海道の歴史からもうなずけることではある。
しかし、コーヒーのアクセントに関しては異なっていて少し耳に残るのだ。

標準語のコーヒーは「コー」より「ヒー」にアクセントがくる。
ちなみに私の出身大阪では同じように「ヒー」にアクセントは来るがイントネーションが「コー↓」「ヒー↑」と「ヒー」であがる。

北海道の人はというと「コー」にアクセントがきて「ヒー」と続く。

違い過ぎて、初めて聞いたときはコーヒーのことだととっさに認識できなかった。

どちらかというと、「coffee」に近いアクセントだ。ネイティブっぽい印象。
ネイティブっぽいでいうと「ハンカチ」や「バナナ」もアクセントの場所が標準語と異なる。

どちらも中学校の英語の授業で耳にした「handkerchief」、「banana」にアクセントに近くなるのだ。

道民の方と会話していてこれらの単語がでてくると、日本語の流ちょうな外国人が、英語の単語が出てくるときだけネイティブの発音になる(「ワタシノクニノBANANAトハチョットチガイマスネ」みたいな)感じがして笑いがこみ上げてくる。

北海道にきて、なるべく北海道の人々になじもうと関西弁を封じている私ではあるが、「コーヒー」などの道民アクセントにはどうも照れがあって取り入れられない。
道民との距離を感じる瞬間だ。

あと何年過ごしたら、自然に取り入れられるだろうか、あと何年暮らしたら猫をひざに抱きコーヒーをすすることができるだろうか。
コーヒーは大好きなのだが・・・

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