東京最西端の名店 オトノコーヒー

「甘い珈琲豆専門店」オトノコーヒー。甘い豆って、いったいどういうこと?まずはその疑問に答え、そして、お店の紹介へと移っていきます。東京の最果ての名店ここにあり、という印象のお店でした。

 

・甘い珈琲豆? それってどういうこと? とても疑問です。

東京都下、あきる野市。檜原街道と呼ばれる古い道のかたわらに、そのお店はあります。オーダー焙煎、「甘い珈琲豆専門店」、オトノコーヒー。
オーダー焙煎はまあ、分かります。生豆を扱い、オーダーごとに焙煎をし、それを淹れて出したり、あるいは豆の状態で売ったり、粉に挽いて売ったり、それがオーダー焙煎というものです。ですが、甘いコーヒー豆とは何でしょうか。それが気になりましたので、取材に伺ってまいりました。

 

・風光明媚を絵に描いたようなところでした、武蔵五日市。

 

武蔵五日市は、「奥多摩の玄関口」と呼ばれる、奥多摩観光の拠点となる場所です。奥多摩は東京都最西部の山地であり、都内の隠れた秘境とも呼ばれる場所。サイクリストのメッカでもあり、夏には多くの観光客でにぎわうそうです。ちなみに日帰り入浴のできる温泉などもあります。

 
オトノコーヒーは、武蔵五日市駅前からバスで5分ほど行った西小中野バス停から徒歩3分程度の場所にあります。なお、バスの本数はそんなに多くないので、お出かけの際はご注意ください。もっとも駅前にはタクシーもいますし、駅から歩いて歩けないこともありません。

 
・甘いコーヒー、実際にいただいてみました。確かに、ほのかに甘いのです。
さて、お店に辿り着きまして、さっそく淹れていただきました。「甘い珈琲豆」で淹れたコーヒー、お店の看板メニュー「オトノコーヒー」です。もちろんテーブル上にお砂糖(コーヒーシュガーでした)はありますが、その甘さを確かめるべく、あえて最初は入れずにいただいてみます。

 
なるほど、確かに、ほのかな甘みを感じます。ただ、砂糖の甘みとはまったく別のものです。何と言ったらいいのでしょうか、コーヒーというものが本来持っている甘みとはこういうものなのか、という感じです。それで、甘いコーヒー豆とはどういうものか。もちろん豆の品種も厳選されているのですが、特定の、甘い豆とグループ分けされるような種類の豆が存在する、というわけではありません。「甘い豆」の秘密は、焙煎深度にあります。

 
オトノコーヒー店主様の考えでは、コーヒー豆に熱を加える、つまり焙煎するとき、一番おいしいタイミングとは煎りが深くなり始める直前、豆が甘くなる程度の加減である、このとき一番味が出て、豆がふっくらする、とのことです。これが「甘い豆専門店」のゆえんです。

 
コーヒーの脇にあるのはビスコッティという焼き菓子。サービスでついてくるもので、「コーヒーに浸して食べると柔らかくなって食べやすいです」とご説明をいただきます。

 

実際、コーヒーにつけたくらいの固さがちょうどいい感じで、そのまま食べてもまあおいしいことはおいしいのですがかなりのガリガリ感があります。なお、ビスコッティは自家製だそうですが、お店の入り口には「食事はありません」と書いて貼ってあります。

 

・土地柄のある店作り。これも奥多摩の名店ならではです。
お店のテーブルはすごいデザインですが、本物の木です。このあたりは林業が盛んな土地でもあり、地元の木を地元の大工さんに加工して作ってもらった、とのことです。地産地消と言いましょうか。

 
ちなみにこちらのお店というか建物、元は老舗のお蕎麦屋さんだったそうです。お店で一番大きなテーブルは杉の大きな一枚板が使われていて、元々は、お蕎麦屋さんでお蕎麦を食べるために使われていたものを、やはりこちらも地元の大工さんにテーブルに再加工してもらったものだとか。

 

お座敷で使われている、やはり木のテーブルも利休好みとでもいうんでしょうか、樹木本来の姿が活かされていて、美しいですね。

 

・コーヒー党にとって、100グラム売りをしてくれる店はホント貴重です。
ところで、オトノコーヒーという名前には、2つの意味があります。まず一つは、お殿様の飲むような贅沢なコーヒーだから、オトノコーヒー。もう一つは、コーヒーをば焙煎するときには音でタイミングを聞き分けるのが大切だから、コーヒーの音、音のコーヒー、だそうです。なお、お店に伺いますと最初に、コーヒー豆を振る音を聞かせてもらえます。まさに、「オトノコーヒー」らしさの感じられるサービスというわけです。

 
さて、お店では、常時20種類を超える数のコーヒー豆を焙煎販売しています。店内で提供されているのは、その中で定番のもののいくつかです。コーヒーはすべてスペシャルティ、そして、唯一エスプレッソのみがブレンドであるのを除き、ほかはすべてピュアストレートです。

 
かつてはコピ・ルアックを、何でも都内で数店目という早さで導入されたのだそうですが、現在はメニューから消えております。代わりにその枠に入っているのが、「バードコーヒー」。ジャクというキジの仲間の、コーヒーの実を好んで食べる鳥の糞から採取した豆を加工した、ブラジルの豆だそうです。

 

コピ・ルアックほどには癖が無いのが特徴、とのことです。
またこのお店の重要な特徴として、豆は最小ロット100グラムからです。100グラムだけ焙煎できる小型の焙煎機を導入しているそうで、新鮮な豆をこまめに100グラムずつ注文するもよし、はたまた2種類の豆を100グラムずつ買って試すもよし、あるいはオリジナルのブレンドなどに挑戦してみるのもよし、とのことです。なお、通信販売で買うこともできます。

 
何と言いましても、このお店の特徴は、甘い豆、そして、「場所」にあります。都心部からですととにかく西へ西へと進んだ先、武蔵五日市駅はJR五日市線の終点ですので電車はこれ以上先へは通っていない、そういう場所です。そんな都内の西の果てに、こんなコーヒーの名店があった。そんな驚きを与えてくれる、そういうお店です。

 

オトノコーヒー
東京都あきる野市小中野141
042-588-5321
http://www.otonocoffee.jp/Pages/default.aspx

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