東海道吉原宿の老舗『CoffeeShopアドニス』

【店舗情報】

『CoffeeShopアドニス』

静岡県富士市吉原2-3-16
TEL0545-52-0557
http://adonis.yoshiwara-shoutengai.com/

東海道と聞くと、何やら歴史の香りがしませんか?参勤交代の大名行列が通った道。清水の次郎長が旅をした道でもあります。その昔、江戸時代から続く東海道には、要所要所に関所が設けられ、宿場町がありました。現代でも数多くの人々がその軌跡を旅し、歴史のロマンに胸をときめかせています。
江戸から大阪へ下る東海道中でも有名なのが、吉原宿です。現在静岡県の富士市のど真ん中を、堂々と貫いて存在し、老舗と新店舗が共存して賑わっている商店街です。
その吉原商店街の入り口と終わりには「吉原駅」があります。一つは富士急バスのバスステーションで、富士市民は、吉原駅といえばバスステーションの方だと言っているそうです。もう一つは、撮り鉄の間ではたいへん有名な、岳南鉄道の岳南吉原駅です。

 

私がその店構えのレトロさに引きよせられた「coffeeShopアドニス」は、富士急バスの吉原駅のすぐ隣にありました。吉原商店街の近くにある銀行に用事があったので、その帰りです。時間はお昼2時過ぎ。朝食が遅かったためお昼はまだ食べていませんでした。
私は特に珈琲に詳しいわけでもなく、何か産地や種類にこだわりがあるわけでもありませんが、行動や気持ちを切り替えるときには珈琲を飲む、程度の珈琲好きです。
この時も、用事は済んだし、軽くサンドイッチみたいなものと、美味しい珈琲が飲みたいなぁ。ここは「coffeeShopアドニス」と看板に書いてあるんだから、こだわりの一杯が出てくる専門店なのかな。私はそう思って気軽に近付いて行ったのです。

 

最初に目に入るのが、ショーウインドウの中に飾られたかわいらしいディスプレイ。それは、こだわりの一杯が出てくる珈琲専門店とは全くかけ離れたもので、まるでその昔、お婆ちゃんと一緒に行ったデパートの屋上レストランを思い出させるような、懐かしい食品サンプルが並ぶショーウインドウでした。ナポリタンスパゲッティ。ハンバーグ。オムライス。町の洋食屋さんのようでした。その中に気になるメニューが。
「つけナポリタン」
ここはご当地グルメで有名になった「つけナポリタン」を考案したお店、アドニスだったのです。
いろいろと心が躍るようなメニューもあり、レトロ感もありということで、期待して入店しました。
カランコロン~とは鳴りません。ここは自動ドアになっていました。レトロなお店ですが、自動ドアです。
薄暗い店内に入ると聞こえたのが「お好きな席にどうぞ」という綺麗な声。店内は自由に好きな席に座れるようでした。
ソファーにしては固い白い椅子と、椅子に対して若干低めのテーブル。
テーブルの端に置かれた綺麗に磨かれているガラスのシュガー容器。
中学卒業まで昭和の時代に生きてきた私には、子供のころに行った喫茶店の記憶がよみがえってきます。
「いらっしゃいませ」若い女性がお冷とメニューとおしぼりを持ってきました。熱いおしぼりにキンキンのお水。透明ファイルで作られた手作りのメニュー表。
店頭のショーウインドウにあった食事や、デザートはもちろん、それ以外のメニュー数の多いことに胸が躍ります。パフェやクレープも数種類ずつあります。ピザだけで1ページ埋まってしまう勢い。ハンバーグも5種類以上あったでしょうか。
ワクワクと心が躍るのですが、このメニューに躍っている場合じゃない。つけナポリタン。そう、これを食べたかったのです!私は!

あれ?そうだったかな。珈琲と軽くサンドイッチでも、だったはずだけど(笑)

気を取り直して、メニューの珈琲のページを探します。洋食やパフェメニューがたくさんあっても、Coffee Shopと謳っているからには、相当こだわりがあるに違いありません。
でも、でも、まずは「つけナポリタン」を注文しました。なぜなら、茹で上がるのに時間がかかるとメニュー表に記載されていたためです。この時点で頼まなければ、帰りが遅くなってしまう。
「つけナポリタン、トッピングは卵とハムと、、、」ここまで言ったところで、店員さんから「写真にある具は全部入っていますので、トッピングは更にプラスしたい場合だけでよろしいですよ。」と説明がありました。ではトッピングは無しで。そして、「へなちょこサラダ」という名のミニサラダと「〆ごはん」なるものも注文しました。どうやら、トマトのつけ汁はごはんにも合うようです。へなちょこって何?締めに更に炭水化物?!もう心が舞い上がる勢いです。

 

つけナポリタンの注文が無事に済んだところで、珈琲の注文をしようとメニューを広げていると、そこへ店員さんから「つけナポリタンのお客様には、ホット珈琲が150円でセットできますが、それでよろしいですか?」の声。「じゃあそれでお願いします。」となりました。店員さん、とても親切。
これで当初の目的、珈琲をいただくも同時に達成です。軽くサンドイッチでも・・・というところが、がっつりパスタになってしまいましたが、それはそれでいいということで。

 

私は、ここ富士市に転勤で引っ越してきてから、この時すでに5年が過ぎていました。その間、特に休みの日は近所を散策するわけでもなく、出かけるとなると富士山の周りの観光地や、地元の東京へ帰るというのがお決まりの過ごし方だったのです。
なので、今回吉原商店街に足を踏み入れたのも実は初めてでした。冒頭で、歴史ある空気を感じませんか?など語りかけている私が、今、5年もの間何も知らずにいた東海道吉原宿の歴史の空気を感じさせていただいているのです。

 

さて、つけナポリタンは提供までにお時間がかかりますとのことで、珈琲を先に持ってきてもらうことにしました。
お店独自のブレンド珈琲だそうです。気持ちの切り替えに珈琲をいただく私にはぴったりの、少し苦みの強い香り豊かな珈琲です。ミルクと砂糖も出してくれたのですが、やはりここはブラックで。シンプルな白のカップは先に温めてられているようで、お店の心遣いが感じられます。冷めにくくいつまでも香りが続きました。

今どきのカフェでは感じられない、懐かしい店内には、遅いお昼を食べに来ている人たちが数組いました。商店街の方でしょうか。メニューも見ずにオーダーする人がほとんどです。
でもそのオーダーに、つけナポリタンとは聞こえませんでした。
聞こえてきたのは「アドニスハンバーグ」というオリジナルハンバーグ。四角いお皿にサラダとハンバーグとフルーツが、こんもり盛り付けられているのが見えました。
ああ、それも美味しそう。

 

アドニスは戦後間もないころに、創業者の店主が建てた食堂だったそうです。今はテーブルが15程度の広さですが、以前はこの倍はあったそうな。吉原商店街の老舗の威厳が、今も大切に守られ愛されているとは、とても素晴らしいことですね。

15分ほど待ったでしょうか、へなちょこサラダ付きの、つけナポリタンが運ばれてきました。木の四角いお盆に、麺と付け汁、2つの器が並んでいます。木のスプーンとお箸?スパゲティをお箸で食べるのですね。斬新です。

トマトのスープの中には、ピンク色の味卵と鶏肉、そして青梗菜が一枚葉で入っていました。歯ごたえが楽しい。上にはとろけるチーズがふんわり乗っています。濃厚な香りがします。鶏ガラスープがベースになっているのですね。
パスタにはレモンが添えられ、桜エビが麺にふんだんに絡められていました。オリーブオイルで炒められた桜エビは大きくて存在感のある物です。さすが駿河湾のおひざ元、富士市ですね!
食べ方の説明が、親切にちゃんと添えられていました。
それがこちら。

「つけ富士リタン流儀」
その一、よくつけて食すべし
その二、チーズを絡めて食すべし
その三、レモンは半分食べたら麺にかけるべし!

なんとわかりやすく、簡単で良い!
この説明通りにいただきました。気になるのが「富士リタン」のくだりですが、これはこちらアドニスさん独自の呼び名です。つけナポリタンのことです。
ナポリタン特有の甘酸っぱい風味とはちょっと違う、鶏がらスープがベースです。サラサラではなく濃厚なとろみが、麺に絡まりとてもうまい。半分食べたところでレモンをきゅっと一絞り。これは!酸味が味を引き締めて、さらに箸が進みます。
つけナポリタンの間にへなちょこサラダをつまむのですが、このドレッシングが甘めで懐かしいドレッシングなのです。

ちょうどいい頃合いに、店員さんが〆ごはんを持ってきてくれました。少し残しておいたつけ汁に〆ごはんを入れて、リゾットのようにいただきました。これも本当に美味しかった。

「coffee Shopアドニス」との店名に珈琲の専門店だとばかり思っていたのですが、実はcoffee Shopの定義は専門店ではありませんでした。
『coffee Shopとは、ホテルなどの軽食堂; 喫茶店ではなく食事に行く所で,コーヒーだけを飲みに行く所ではない。(出典:weblio)』
とあるように、食事をするお店だったのです。

アドニスさんにはスターパックスのような、珈琲がメインのメニューがたくさんあるわけではありませんが、キリマンジャロ、ケニヤ、エスプレッソ等の珈琲も揃っていました。ブレンド珈琲は機械でのフィルター抽出ですが、他の珈琲は丁寧に落としている様子です。
私がつけナポリタンを食べ終わった3時頃からは、珈琲やケーキセットのお客も入って来たので、店内は一気に珈琲の香りで充満しました。

その香りにつられて、私ももう一杯珈琲をお代わりしようとメニューを広げると、そこにあったのがアフォガードというデザート。バニラアイスクリームにエスプレッソがかかっているのだそうです。
つけナポリタンを頼んだお客様には100円引き。ということで、こちらを注文しました。
甘いバニラに苦いエスプレッソがとても合う、大人のデザートです。

富士市民になって5年目、やっとご当地グルメのつけナポリタンを食し、少し富士市民の仲間入りができた気分で退店しました。
せっかく引っ越してきたんだから、これからは近所の散策や探検もしてみようかな。

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