仕事の関係で茨城県県に在住するようになって、かれこれ十年程が経過しました。
それまでは、どちらかと言えば大都市での生活が長かったので、正直茨城はどうなのと思っていました。
しかし、そんな私も今では、休日になると県内各地に出向いて、美味しいコーヒーを出してくれる喫茶店を巡るのが、最高の楽しみとなっています。
茨城は海と山に囲まれているので、その土地ならではのコーヒーがあるように感じます。もちろん、コーヒーの美味しさの秘訣は豆です。コーヒー豆の産地や銘柄、それに状態によっていくらでも味が変わってきます。
しかし、それと同じぐらいに大事なのが水ですよね。美味しい水で入れたコーヒーが、本当に香り深くなるのは、コーヒー通なら常識ですよね。
豆と水、そしてさらに大事な要素があるのを知っていますか? これは人によりけりで、ある人は否定するでしょう。しかし、別のある人は大変同調してくれると思います。
かく言う私も、以前は否定はでしたが、最近は年老いて若さを失った所為もありますが、めっきりこれが実は一番大事な要素ではないかと、思うようになってきています。
前置きが長くなりましたが、コーヒーの美味しさを引き立てるのは、それは喫茶店の雰囲気なのです。
何を今さら、と思うでしょうし、案の定私も今までは否定派でした。コーヒーの美味しさを決めるのは、何度も言いますが豆と水だけ、他には一切必要なしだと無論思っていたのです。
ですが、以前から評判が良い喫茶店だというのを知っていましたが、何となく雰囲気重視過ぎだと思い込み、足が遠のいていました。
そんなある日、恒例となった休日のドライブ兼喫茶店巡りに出かけたのですが、その日は予定していた店が休みで、さらに帰りには妻と車内で軽くケンカに発展し、ちょっと重苦しい雰囲気となりました。
口喧嘩などは、4~5年に一回有るか無いかなので、余計に気まずくなりました。
平日の午後7時頃という時間帯もあり、水戸市中心地に入ってからも少し道路が渋滞しています。
何を思ったのか、私は今まで入った事がない、その喫茶店をふと思い出したのです。喧嘩の仲直りをしたかったのか、それともドライブ先が失敗だったからなのか、今では明確に覚えていません。
しかし、引き寄せられるように水戸市城南にある「カフェ・トロワシャンブル」に吸い込まれていきました。
思い出すと、妻と結婚して若い頃はオシャレな喫茶店に良く通いましたが、それ以降はどちらかと言うと雰囲気よりも、味やネットや雑誌での評判店ばかり通うようになりました。
それが、喫茶店巡りでハズレがなく、コスパも高いと思っていたからです。
初めて入った「カフェ・トロワシャンブル」は、店内に入った瞬間から一発で気に入りました。
コーヒーの香りと、まるで昭和時代の様な味があって雰囲気が大変素晴らしい。これぞ、クラシック的な映画やドラマ世界で憧れた、あの喫茶店なのです。
私は茨城県に住んでいながら、このようなタイプの喫茶店は存在しないと諦めていました。
否、決めつけていたのです。こんな雰囲気良い喫茶店は、都内などオシャレな大都市にしかないと、本当に恥ずかしい限りです。
喧嘩していたはずの妻とも、自然と会話が広がります。思い返すと、喧嘩をしても大喧嘩にならずに元通りになるのは、少し経ってからどちらからともなく、コーヒーブレイクで息抜きをして、元の関係に修復するのです。
店内は少し薄暗く、ゆったり出来る雰囲気で、ボーっとしながらコーヒーを飲み、妻の顔を眺めると、美味しいコーヒーの条件がもう一つ浮かびました。
そう言えば、私がコーヒー好きになって、20年以上を妻と一緒に飲んできたのです。
美味しいコーヒーには、豆と水、そしてお店の雰囲気と一緒に飲んでくれる愛する妻が大事なのです。当たり前の事を「カフェ・トロワシャンブル」が教えてくれました。
この店の雰囲気良く感じたのは、もちろん店内が素晴らしいのもありますが、妻が一緒にいてくれたからでしょう。ほろ苦いコーヒーを流し込み、店内からはコルトレーンだがエバンスだか分かりませんが、落ち着くジャズが流れています。最近通っていた喫茶店は、ジャズが流れない店ばかりだったので、こんな事も忘れていました。
そうです、コーヒー喫茶にはジャズは付き物ですよね。改めて、多くの事を思い出させてくれた一日となりました。
店舗名:カフェ・トロワシャンブル
住所:茨城県水戸市城南2-5-8
電話番号:029-227-7487
HP:http://candilize.dip.jp/trois_chambres.htm
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