今も昔もコーヒーと音楽は切っても切れない関係。
カフェや喫茶店では、心地良い音楽が流れているのが当たり前で、選曲によってはそのお店の雰囲気や質が分かってしまうものです。
一人でコーヒーを飲んでいるときは、自然と音楽に耳を傾けていることもありますし、誰かと会話しながらの時も、音楽がBGMになって会話が盛り上がることだってありますね。
昭和初期には名曲喫茶なんていうものが誕生して、音楽もコーヒーも極上のものを楽しみたい人がたくさん集まる場でもありました。
東京・渋谷にある”名曲喫茶ライオン”もそのひとつ。
全く現代とかけ離れた異空間で飲むコーヒーは、他では味わえない至福のおいしさです。
高さ3mくらいの巨大なスピーカーが、すごい存在感!
ヨーロピアン調の店内にはクラシック音楽が響き渡り、このスピーカーからは、まるでコンサートホールにいるような立体的でやわらかい音が聴こえてきます。
ここでいただくコーヒーは、焙煎して挽いたコーヒーを鍋で煮出してからネルドリップするという、お店独特の方法で淹れられたもの。
濃くて深い味わいのコーヒーは、重厚なクラシック音楽とぴったりハマります。
壁にはぎっしりとレコードが並べられていて、お店の歴史に想いを馳せながらコーヒーを飲んで過ごせそうですね!
おすすめのコーヒータイムミュージックは、ルビン・シュタインの弾く「ベートーベン、”スプリングソナタ”」だそう。軽快で可愛らしく、やわらかい音色が心地良い曲です。
他にもクラシック音楽は、コーヒーと合うものが多いような気がします。
ジャズやシャンソンなどもそうですが、コーヒーの独特な琥珀色をした重みと後味が、聴けば聴くほど染み入るような音楽とどこか似ているからではないでしょうか。
クラシック音楽の中で一番最初にコーヒーを主題に取り上げたのは、バッハの「コーヒーカンタータ」という曲です。
コーヒー愛好家だったバッハが、行きつけのコーヒーハウスで演奏するために作曲したものだそうです。
彼の遺産には、5つのコーヒーポットと、カップが含まれていたみたいです。かなりのコーヒー通だったんでしょう。
「ああ、コーヒーのおいしいこと。千度の接吻よりすばらしく、マスカットのお酒より甘い。コーヒーはやめられない」という歌詞がコミカルに歌われています。
同じくコーヒー好きだったベートーベンは、毎朝、上質のコーヒー豆をきっちり60粒数えてトルコ式のミルで挽き、ガラス製のコーヒー湧かし器で淹れて飲んだそうです。
今でいうサイフォンのような器具でしょうか。
きっと、作曲する時にはコーヒーが欠かせなかったのかもしれませんね。
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