ブレイクするコーヒー、時間が優雅に流れる紅茶

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忙しい仕事の合間に欠かせないのがコーヒーブレイクです。
火照った体にギスギスした頭で目いっぱい働いていると、このコーヒーブレイクで「生き返った!」と思えるくらいのリフレッシュ感があるものです。
栄養もなくカロリーもないのに毎日の生活に欠かせない貴重な存在です。

でも、コーヒーは飲めないから紅茶がいいという人もいます。
飲めるけど紅茶のほうが好き、という人もいます。
親指と人差し指で優雅にティーカップを挟んでいただくティータイムは、高貴な感じがしていいですね。
では、世の中ではコーヒーブレイクとティータイム、どちらをたしなむ人が多いのでしょうか。
イギリスの上流階級で始まったティータイム

紅茶はもともと中国で生産されていましたが、大航海時代にヨーロッパに持ち込まれました。
今では紅茶の歴史といえばイギリスを抜かしては語れませんが、当初は外国の不思議な物珍しい習慣だったようです。
この紅茶、当時イギリスにあったコーヒーハウスで販売されるようになりました。
女人禁制のコーヒーハウスで、男性たちが自分たちだけの特権を楽しんでいたのです。
そうです、ヨーロッパにおいては紅茶よりコーヒーのほうが歴史が古いのですね。

その後、19世紀のヴィクトリア朝の時代にイギリスの上流階級で紅茶文化が花開きます。
「アフタヌーンティー」と呼ばれる習慣です。
女性たちも自宅で紅茶を楽しめるようになりました。
美しいティーセットを買いそろえ、サンドイッチやスコーンのようなお菓子と共に優雅にいただくアフタヌーンティーのおかげで、夜の社交のあいだも空腹を抱えないで済んだのだそうです。
アメリカの自動車工場で始まったコーヒーブレイク

一方のコーヒーブレイクは、100年ほど前にアメリカで始まったといわれています。
20世紀が始まったころ、アメリカでは自動車産業が花開いていました。
徐々に労働者の働く環境も整えられ、労働時間の合間に休憩時間がもうけられるようになりました。
それが「コーヒーブレイク」の始まりです。
またその後、アメリカの三大自動車メーカーであるフォード、クライスラー、そしてゼネラル・モーターズが労働組合と合意に達し、1960年代にコーヒーブレイクを認めたのです。

優雅な上流階級で始まったティータイムと、自動車工場の労働者のあいだで始まったコーヒーブレイク。
そうした歴史がそれぞれのイメージとなって今に至っているのでしょう。
日本ではコーヒー派が多い

インターネット運営会社が行なったアンケートによりますと、日本では紅茶派よりもコーヒー派のほうが多いとの結果が出ています。
・コーヒーをより好む……73.5%
・紅茶をより好む……26.5%
年代別にみますと、紅茶派が多いのが20代、コーヒー派が多いのが50代です。
・20代……紅茶派42.9%/コーヒー派57.1%
・50代……紅茶派19.9%/コーヒー派80.1%
(2010年 飲食店情報検索サイト「ぐるなび」調査)

優雅に長時間かけてゆったりと紅茶を楽しむティータイムを取れるような、時間の余裕のある年代はおそらく高齢者でしょうから、そこは緑茶派になるのかもしれません。
忙しい仕事や用事の合間に短時間ひと息いれるコーヒーブレイクこそ、日本の実情に合っているのでしょう。
世界でもコーヒー派が多い

飲料メーカーが行なったコーヒー派?紅茶派?というアンケートでも、コーヒー派が圧倒的な勢いをみせています。
このアンケートはイギリス・インド・アメリカ・日本の4か国で実施されたものです。

・朝の時間帯に飲むのはどちら……紅茶派 インド/コーヒー派 イギリス・アメリカ・日本
特にアメリカは54.5%の人がコーヒー派である一方で紅茶派はわずか6.4%と圧倒的なコーヒー支持となっています。
日本もそれに追随していて30.0%の人がコーヒー派である一方で紅茶派はわずか5.5%とコーヒー支持が主流です。
・紅茶をどの時間帯に飲むか……朝に飲む イギリス・インド/午後に飲む イギリス・インド・アメリカ・日本/夜に飲む イギリス
朝に紅茶で一日を始めるのは、やはり紅茶文化の歴史の長いイギリスとインドが多いという結果です。
一方で午後に紅茶をたしなむ派は4か国ほぼ同じ割合でした。
午後の紅茶という習慣は世界共通のようです。
・朝の時間にどんな気分が多いか……すがすがしい気分だ インド/とにかく忙しい 日本
(2015年 森永乳業調査)

よく働くといわれる日本人らしく、時間がない朝の時間にとりあえずコーヒーくらい飲んで気分を落ち着けてでかけたい、仕事を始めたいという様子がうかがえます。
一方でインドではもっと時間がゆったりと流れているようで、紅茶の典雅な香りを楽しむ余裕があるようです。
忙しい人がその合間に飲んでリラックスするのがコーヒー。
ゆったりと生活を楽しんでいる人が、その一部として楽しむのが紅茶。
そんなイメージが浮かび上がってくるようです。
同じ嗜好品であり、同じカフェイン入り飲料であっても、ずいぶん違いがあることがわかります。
さて、あなたはコーヒー派?紅茶派?

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