日本で最初のカフェは?

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街中で新しくオープンしたカフェを見つけると、どんな雰囲気なのかとか味はどうなんだろうかととても楽しくてワクワクした気分になります。
今回はそんなカフェが最初に日本に誕生した頃の時代について見ていきたいと思います。

日本に本格的なコーヒー店が誕生したのは、明治21年(1888年)4月13日で「可否茶館(東京下谷西黒門町)」となっています。
店には、コーヒーの他に洋酒、ビールが用意され、カステラやパン等の一品料理も出されていました。

 
その他にも、すずり、便箋、封筒に始まり、囲碁や将棋にトランプや国内外の新聞や雑誌が取り揃えられていました。
更には、更衣室や化粧室にシャワー室まで備え付けられていたそうです。
現在でいう所のネットカフェの元祖とも言えるのかもしれませんね。

 

店主の名前は「鄭永慶(ていえいけい)」という日本人の方です。
店主である永慶氏は、その頃華やかだった鹿鳴館に対抗して一般大衆から生まれる文化を築く庶民の社交場を目指していました。
実際、お店には文士や高官に帝国大学の学生等が通いはしましたが、お店の経営が軌道に乗らずに明治25年(1892年)に僅か4年でお店を閉店する事になりました。

明治23年(1890年)4月に第3回内国勧業博覧会が東京の上野公園で開催されました。

 
そして、会場のパノラマ館にはコーヒー店が出店されました。
同年5月には「ダイヤモンド珈琲店」も浅草六区のパノラマ館構内に開店されました。
ダイヤモンド珈琲店では、コーヒーが3銭、オムレツやビフテキにシチューやライスカレー等の洋食が7銭で提供されていました。
その効果で多くの人々がコーヒーや洋食等の新しい時代の味を知る事が出来ましたが、このお店も経営が思うようにいかず、短期間で閉店する事になりました。

 

明治30年(1897年)頃に入ると各地の大学街に「ミルクホール」と呼ばれるお店が現れます。
ミルクホールは当初「新聞・官報縦覧所」と呼ばれていて、学生達はお手頃な値段でミルクを飲んだりドーナツ等の軽食を食べたりしながら、備え付けの新聞や雑誌を読んだりしていました。

 
その当時はまだ牛乳を飲み慣れていなくて牛乳の乳臭さを消す為にコーヒーが加えられました。
それが飲みやすくて更に栄養価も高かった事から、商人や人力車の車夫等の一般大衆の人々に次々と受け入れられていきました。
気軽に立ち寄る事の出来るミルクホールが庶民とコーヒーを強く結ぶ格好の場所となりました。

 

明治41年(1908年)に東京日本橋小網町で「カフェー・メゾン鴻の巣」が開店しました。
このお店が日本で最初に「カフェー」と名乗ったお店と言われています。
明治44年(1911年)には「カフェー・プランタン」と「カフェー・ライオン」が大正元年(1912年)に入ると
「カフェー・パウリスタ」等のお店が銀座で開店していきました。
作家である永井荷風さんは後に「当時都人の中にはカツフエーの魏の何たるを知らず、又これを呼ぼうとしても正確にFの音を発することのできない者も少なくなかった」と書き綴っているそうです。
今の発音とは若干違いがあり、当時は「カッフェー」や「カフェー」等のように伸ばした発音をしていたようです。

鹿鳴館時代のカフェは西洋の味や文化を知れる日本人にとっては憧れの場所であると同時に、新しい時代への希望が香る日常とかけ離れたひと味違う異空間であったのだろうと考えられます。
当時は限られた人達だけに許された社交場として始まったカフェが、昭和という時代を迎える頃には「コーヒー牛乳」や「アイスコーヒー」等の日本人には親しみ深いメニューがお店に並ぶようになり、庶民にとっての憩いの場となっていきました。

時代が過ぎていくにつれて、人々の価値観も多様化してきました。それに伴いカフェもその形が変わってきています。
例えば、書店やブティックに併設されていたり、雑貨や絵画を売るカフェ等、「新しさ」を感じさせてくれるような個性的で小粋な空間が続々と誕生しています。

 
時代が変化していく中でコーヒーを飲むシーンにも大きな変化が起こり続けています。
今の世の中では、携帯電話が普及しているので待ち合わせの時間や場所を明確にするという事も少なくなり、喫茶店等でコーヒーを飲みながら恋人や友人を待つといった場面も以前と比べると減ってきているように感じられます。
「カフェめし」という言葉が日常的に使われるようにもなり、ご飯メニューの充実したお店等も増えてきているようです。

普段着のように気軽な気持ちで来店し、ご飯を食べる人やコーヒーを飲みながら本を読んだり、レポートや課題をこなす人、何もせずにただコーヒーを啜る人等、お金と引き換えに快適な居空間を得られるカフェには、自宅のような感覚で自分の時間を楽しめる雰囲気があります。

 
人ごみの中で疲れた心や体を癒し、穏やかに孤独を堪能できる場所が現代のカフェということかもしれません。

カフェの利用目的は人それぞれ違うと思いますが、あなたにとってカフェとはどういうものでしょうか。

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