神戸のある親子のコーヒーと恋物語

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これはある神戸に住んでいる親子の恋物語です。
高知県にある少女が生まれました。少女は天真爛漫で、小学校・中学校と友達と多く少々悪ガキのところもありましたが、元気に暮らしていました。
しかし、彼女の家庭は父親が子供たちを束縛するくせに、自分は生活が野放図で好き勝手ばかりしていました。
彼女は、そんな家庭が嫌なことと狭苦しい田舎の生活が嫌になり、神戸で生活することを決めました。
母親は、最初は反対していましたが、その少女の熱意に負け、5千円握りしめさせ、神戸へと送り出しました。
神戸で生活を始めた少女は、顔もきれいで背も当時にしては高かったということもあり、百貨店の化粧のモデルをしていました。
しかし、彼女はお金を貯めるため、自分の喫茶店を持つという夢を実現するために、水商売へと転身していきます。
しかし入った店というのは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いの勢力のあった暴力団の幹部の店だったのです。
そこで彼女は恋心を抱きました。その店の暴力団の幹部です。彼女はほのかな恋心を抱きながら働いていると、その幹部から、「買い物をするからついてこい。」というお誘いを受けました。
彼女は高ぶる感情を抑えて、いろいろな所をお供していると、一軒の喫茶店に入りました。
当時、神戸で有名な「上高地」という店です。
その店は、雑然としていますが、コーヒーがおいしく、周りが静かではないので、逆に話しやすい店です。
彼女は、その幹部といろいろ話をしました。しかし、彼女はその幹部と話しているうちに、「この人は私とは別の世界の人なんや」と思い始め、「この人とは憧れで置いておこう。やはり、ヤクザと付き合うのはむりなんや。」とおもい、恋を憧れに変えて生きていくことに決めました。
その後、彼女はお金を目標額まで貯め、その店も以外とすんなり辞めることができました。
彼女は最初喫茶店を開くことを考えていましたが、やっぱり仕事は慣れているほうがいいと、スナックを開きました。
店をオープンさせ、何年後かのある日、1人のお客さんが店を訪れました。そのお客さんは店でその彼女に一目ぼれし、毎日通うようになりました。
彼女の方は、さいしょは何にも感じなかったのですが、だんだんその彼を気にするようになり、店以外でデートするようになりました。
彼と彼女の共通の趣味は、喫茶店で共通のコーヒー好きを講じてのコーヒーを飲むことと
映画を見ることでした。
映画を見た後は、いつも喫茶店に直行していました。
喫茶店は神戸でこれまた有名な「G線」というお店で、店の様子は「上高地」と変わらない感じです。
彼女は彼といろいろ話をしました。過去のこと、現在のこと、未来のこと、そしてコーヒーの杯を重ねるたびにその人のことが好きになり、とうとう2年後に結婚することになりました。
彼女は今までの生活を変えるため、店を畳み、水商売時代の知り合った人を切り、子供を産んで幸せになることを選びました。
その1年後、彼女は子供を産みました。男の子です。そして、その男の子は、すくすくと育ち、中学生になりました。
しかし、その子は、親の期待をよそに中学校に入ってから悪くなり、そのつながりで1人の女子中学生と付き合うようになりました。
しかし、彼女は、その1年後に両親が離婚してしまい、和歌山県に引っ越ししてしまいます。
彼は、その現実を受け止められず、学校の成績は維持していましたが、ますます女の子にのめり込んでいきます。
そうこうしている内に、中学3年になり、彼は1人の女友達からある知らせを受けます。
「彼女と話してやってくれへんか。」彼女のことは半分忘れかけていた彼は、一気に記憶を呼び起こして電話を掛けます。
そして、会うことになりました。しかしそれには条件があり、「高校受験を通ること」、
「そのご褒美としてラブホテルに行くこと」そして、「デートの最後には喫茶店でコーヒーとドリアをおごること」その3つです。
彼は、もう高校になると彼女と会えないことは自然に察知していました。そして、彼は彼女にいいところを見せるため、そして、中学時代の総決算のため、一生懸命に勉強して高校に合格します。
彼は、1度連絡を取り、大阪の難波で待ち合わせをしました。彼女と会った彼は、大阪球場などを見て回り、その近くにあるラブホテルに入りました。
しかし、彼は最後までいろんな感情が高ぶってできませんでした。彼は彼女とベッドの中でいろいろ話をし、そして、最後の約束である喫茶店でコーヒーとドリアをおごるため、
高島屋の4階の喫茶室に入ります。
コーヒーを飲みながら、またいろいろ話をしました。彼女の家庭のこと、今、好きな人がいること、彼女の将来のこと、その時彼は、「喫茶室でのコーヒーがこれだけ苦いものか」
と感じて、神戸の家へと帰っていきました。
高校に入学した彼は、同級生からいろいろ教えられました。酒、たばこ、ギャンブル・・・
その時に1人の同級生の紹介で、高校を中退した女の子と付き合うようになりました。
その女の子は性に対して奔放で、好きなものは、コーヒーと中華料理です。
そして、その女の子は、よく彼に尽くしました。毎朝、弁当を作って彼の最寄り駅まで運ぶ、彼の迎えにくるバイトでも、いやな顔一つせず付き合う、そして、彼との会う場所は、いつも喫茶店でした。灘区の水道筋の「コトブキ」、「ドニエ」で会ってコーヒーを飲み、
彼女の家で会うか、三ノ宮で会うかして、そして彼の性のリクエストにも応えていきました。
彼女の中にある1つの感情がめばえてきました。「この人と結婚したい」、「この人を1人占めしたい」、しかし、その感情は彼に届きませんでした。そして、いつしか彼をめちゃくちゃにしたいと。
付き合って6ヶ月後、あるできごとが起こります。彼の近くにあるコンビニに彼と中学の時に付き合っていたあの彼女が働きだしました。しかし、名前を変え、彼が彼女に「お前やろ」と言っても一言も言いません。それを聞いた今の彼女は怒り出し、一方的に別れを切り出します。そして、頃合いをみはらかって「赤ちゃんができた。」といいます。
彼と今の彼女の家庭は大騒ぎとなりました。そして、彼の家庭と彼女の家庭で話し合いの席が設けられました。その時にもコーヒーがお茶請けとして出てきました。
彼は、彼女と結婚することを言いました。しかし、なぜか彼女は拒否しました。

 

なぜなら、彼のその彼女の心を見抜いていた中学の彼女が手を回し、悪い先輩に頼んで、彼女を脅していたからです。彼女は何も言わず、ただ涙をこらえていました。そして、二人にとってコーヒーの味は、苦いという味を通り越して無味乾燥の物になってしまいました。
じつは彼はその彼女を好きではありませんでした。乱れた生活をしていた彼でしたが、
高校時代1つの夢を持っていました。「好きな彼女と一緒に帰る。」「好きな彼女と図書館に行って勉強する。」という夢が、彼は高校に入ってすぐ、同じ部活に入っていた同級生を一目ぼれしました。彼女は、中学時代からその競技では有名で、高校に入ってもインターハイで活躍できると期待されていました。
そして、彼は入学する前の部活の練習で、「自分の中学で練習し、後輩たちを見てやってほしい」と頼んでOKをもらいました。
その部活の終わりにお茶でも。ということになり、阪急六甲の南にある喫茶店に入りました。そこで、いろいろ、出身中学のこと、他校の部活のことなどたあいのない話をしていました。
彼は、漠然と「この子と結婚したい」と考えるようになりました。ちょうどその時に、中学の恩師が同僚の彼女を連れてやってきました。その中学の恩師は、そのことを漏れることを恐れ、「その彼の連れ(4人)を合わせてのコーヒー代、軽食代、全部支払う」と言いたいへん得をしました。そうゆう笑い話もありながら、「家庭ってこういうものなんかなぁ」
と思うようになりました。
彼は元来恥ずかしがり屋で、先の2人も女の子の方から告白して付き合いました。
彼は、初めて結婚を意識する女の人を見つけました。しかし、告白できずにいました。
そして彼は恥ずかしなりながら、2人きりになろうとしました。
しかし、彼女は会う時はグループという線を崩しませんでした。彼は、それでもいいと思っていました。その時にもコーヒーがいつも寄り添っていました。お店は、阪神御影駅前のH&Mハンバーガーとマクドナルドの2号線御影店です。そこで、同級生や後輩たちと
いろんな話で盛り上がりました.。
彼はアイスコーヒーが好きで、それを飲みながら彼女を見ていました。そして、2年生のある日、勇気をもって告白することになりました。
結果は撃沈でした。そして、感情を抑えられなくなった彼は、高校の時の大騒ぎを引き起こすようになったのです。
その騒ぎをおこしてからは、学校の方にはわかりませんでしたが、生徒の方には筒抜けでした。
彼も身から出たさびと黙って耐えることにしました。しかし、その高校時代好きだった彼女は何も言いませんでした。
そして、高校も卒業し、その彼女は現役で地元の私立大学に入り、彼は京都の私立大学に入りました。
そして、大学入学の時の後輩の試合で後輩から「制服を全部ください。」と言われ、彼は
全部やることにしました。その制服はいまどうなっていることもわからずに・・・
それから、6年後、部活の先輩の結婚式で全員集合することになり、式が終わった後に「お茶でも」ということになり、神戸で有名な西村屋コーヒー店に行くことになりました。
そのとき彼は、その彼女から「別に結婚する彼氏がいて、将来彼と結婚する。」と聞かされました。
しかし、彼は感無量になりました。その時、彼は母親が言った昔話をいろいろおもいだしていました。そして、彼はふと気づきました。その親子の恋物語のそばに喫茶店とコーヒーがあることを。
そのとき彼がのんでいたのは、アイスティーでした。

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