「コーヒーメーカーにはインスタントコーヒーにはない欠点がある。それはインスタントコーヒーの味が出せないことだ。」
フジテレビジョンの人気テレビドラマ【ガリレオ】に登場する物理学者 湯川助教授の一言である。彼は基本的にインスタントコーヒーしか飲まない。
この台詞はなかなか興味深い。コーヒーとは詰まる所、嗜好品である。つまりインスタントコーヒーの味が自分の嗜好性に完璧にマッチしていればわざわざコーヒーを淹れる必要はない。実に合理的な考え方だ。
味の安定感という意味ではインスタントコーヒーは馬鹿に出来ない。誰がいつ淹れても同じクオリティの味に仕上がる。
これはコーヒーメーカーにはない大きなメリットだ。なかなか味の満足度を数値化することは出来ないが例えばインスタントコーヒー一杯の満足度が100点満点中50点だとする。
コーヒーメーカーは淹れる工程は自動化されており一定であるものの、コーヒー豆の保管状況や、コーヒーメーカーの清掃等のメンテナンス状況によって味が左右される。つまり美味しく淹れれることもあれば自分の満足いくレベルで淹れれないこともある。満足度が80点のこともあれば60点、豆の鮮度状況によっては40点の場合もある。
毎回高いレベルで美味しいコーヒーを飲みたい場合は豆の状況を見極め、都度挽き方やお湯の温度、注ぎ方を調整してハンドドリップで淹れるしかないがみんながみんなその技術を持っているわけではない。技術も手間もかかる。
自分がコーヒーには50点の満足度があればいい、それ以上はもとめないと思っているならばインスタントコーヒーはひとつの最適解である。
例えるなら誰もマクドナルドに三ツ星レストランのクオリティはもとめない。マクドナルドにはマクドナルドの価格でマクドナルドのクオリティをもとめているのである。そしてそれが毎回期待を裏切られることなく提供される。この毎回同じクオリティのものを提供するというのは当たり前のようになってしまっているが実は凄いことである。
家庭の味は日々変わる。今日の肉じゃがは前回より甘いなぁ、今日は味付けが濃いなといった形である。なかなか味が安定しない。逆に言えば飽きがこない。どっちがいいと言う話ではなく、ようは何を自分がもとめているかが大事なのだ。
特にコーヒー豆は農作物であり味を一定にするのは非常に難しい。インスタントコーヒーは他のコーヒーの抽出方法と比較してもこの【味の安定感】という点においては非常に優れている。インスタントコーヒーのレベルで味を安定させることはプロのバリスタでも難しいだろう。
湯川助教授はこのインスタントコーヒーの【味の安定感】を高く評価されているのではないか?
湯川助教授のコーヒー論についての講義があるならば受けてみたいものである。
う〜ん。実に面白い。
コメント