私がそもそもコーヒーを飲み始めたきっかけは、ドライブ先の小さな休憩場で自動販売機で買った缶コーヒーがあまりにもおいしかったというもので、そのため車とコーヒーとは私の中で切っても切り離すことのできないものとなっています。
始めはドライブをして目的地で自販機の缶コーヒーを買って飲んで満足するというコーヒーファンとしては失笑物の行動を続けていましたが、缶コーヒーを何種類も試しSAで売られているコーヒーなどにも手を出すうちに次第にコーヒーの味について気にするようになり、どうせきれいな景色を見るのだからそのセットとなるコーヒーも良いものを楽しみたいと思うようになりました。
ドライブに行く際にはその目的地付近でのコーヒーショップやカフェをあらかじめ調べたりもするようになりました。また携帯式のコーヒーメーカーもいくつか買い、持ち歩いて夕日などを見ながら飲んだりもしています。
一例として、私の好きなコーヒーを楽しむ関東でのドライブコースを紹介したいと思います。朝五時、神奈川県の川崎を出発し、アクアラインを通って千葉にわたります。途中海ほたるで停止し、東京湾に昇る朝日を昇りながらまず一杯、眠気を吹き飛ばします。
そこから高速を通って南へ行くのですが、道中には沢山のSAや道の駅があるので寄るのもお勧めです。地方の特色を生かしたクッキーや軽食などのコーヒーに合うものを買い込むのがいいでしょう。房総半島の南端まで行くとそこからは折り返し、鴨川や勝浦へ一般道を通って右手に海を見ながらのんびりとドライブします。このあたりで昼になるので、軽食とコーヒーを頂きましょう。
海沿いの道路の小さな車寄せでも公園や道の駅の駐車場でも、その日の気分によって場所を選びます。腹ごしらえをしたらまたのんびりと北上し、銚子を目指します。九十九里浜の砂浜は広く人もいないような場所も多いので、途中でまた海を見ながらのんびりと一服もできます。銚子へ着くと魚市場などで時間を調節し、本州の東端にあるということでかなり早めの日没を見届け、川崎へ戻ります。
のんびりとした夕暮れの山道を楽しみしばらく走ると首都高に入り、一気に近代的なビルに囲まれて雰囲気も一変します。どこかで一度高速を降り、今朝からののんびりとした旅路を振り返りながらそれとは百八十度異なる東京の雑踏を眺め温かいコーヒーをすすり、また車を走らせてゴールとなります。
関東以外では、大阪から和歌山の白浜までのドライブや、九州縦断ドライブなどもあまり回数は行えていないものの私のお気に入りです。白浜の名も知れぬカフェや鹿児島のレンタカーを返した後の空港で飲んだコーヒーの味は、旅の思い出と合わせて今でも鮮明に記憶に残っています。
そもそも考えてみれば、コーヒーというのはなんともドライブにぴったりな存在です。運転の天敵である眠気を覚ましてくれ、味によって食事にも軽食にも合わせることができ、窓を全開にしての爽快なしかし身の凍るようなドライブ後の体を温めてくれたりもします。またドライブ先での普通に暮らしているだけでは決して出会うことが無かったであろう店との出会い……一度味わった興奮が忘れられずに事前準備もなしにどこかにはあるだろうとやみくもに走り回ってしまったこともありますが、それもまた一興でしょう。
これまではコーヒーをあくまで家や近場で楽しんでいた方、車の運転をあまりしない方、ぜひ一度コーヒーをお供にしたドライブを楽しんではみませんか? それこそ夕方に家を出て近場の浜辺まで走り、車を止めて海に沈む夕日を見ながら温かいコーヒーを飲む、その程度でも十分にこのコーヒーの楽しみ方を体験することができると思います。
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