映画「かもめ食堂」や「最高の人生の見つけ方」でも取り上げられた幻のコーヒー

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コーヒーを愛してやまない方々であれば、「世界一高価で希少なコーヒー」として有名なインドネシア原産の「コピ・ルアック」について一度は耳にしたことがあることでしょう。

「コピ」はインドネシア語でコーヒーを意味し、「ルアック」はマレージャコウネコを呼称する現地の言葉で、マレージャコウネコがコーヒーチェリー(コーヒーの実の部分)を餌として食べた後、果実の部分は消化され、種子にあたるコーヒー豆のみ排泄されます。

その排泄されたコーヒー豆を洗浄・乾燥・焙煎したものがコピ・ルアックです。

ジャコウネコの排泄物から採れたコーヒー豆ということで、不快なイメージを持ってしまったり、敬遠してしまいそうですが、ジャコウネコの体内構造は特殊で、全く臭わない排泄物を出します。

ルアック・コーヒーは、チョコレートやヘーゼルナッツのような香りと、とてもまろやかなフルーティな甘みを楽しむことができ、一度は飲んでみたいコーヒーとして世界中のコーヒー愛好家から珍重されています。

コピ・ルアックは、スマトラ島やジャワ島、スラウェシ島などインドネシアの島々で作られている他、フィリピンでも「カペ・アラミド(アラミド・コーヒー)」として生産されており、ルアック・コーヒーよりも高値で取り引きされています。

コピ・ルアックはロブスタ種のみですが、カペ・アラミドは複数種のコーヒー豆が自然にブレンドされています。これは、インドネシアとフィリピンのコーヒー農園の栽培環境が違うことによるものです。

現在日本で販売されているコピ・ルアックの値段は100グラムあたり4000円から8000円で、カペ・アラミドはコピ・ルアックの2~3倍の高値が付いています。ちなみに最高級品として有名なパナマ・ゲイシャ種のコーヒー豆は、100グラムあたり2000円から3000円で取り引きされています。なぜコピ・ルアックやカペ・アラミドはここまで高価なのでしょうか?

食欲旺盛なジャコウネコは夜行性で、夜中にコーヒーチェリーを食べてはジャングルの中でフンを排泄します。そのフンを探し出す手間と、フンに含まれたコーヒー豆を洗浄・摘出する手間が膨大にかかり、採取量も多くないことから、希少価値がたいへん高いのです。

フィリピンでは、早朝からジャングルに入り手作業でジャコウネコのフンに含まれるコーヒー豆を採取しますが、1日中作業しても1キログラム程度しかとれません。一方インドネシアでは、ジャコウネコを飼育し、コーヒーチェリーを与えることでルアック・コーヒーを大量生産する農園もあります。ただ、野生のジャコウネコから採取したカペ・アラミドと比べて、香りや味わいが劣るとの批評もあります。

一般的に広く販売されているコピ・ルアックはロブスタ種が元になっているものが多いのですが、アラビカ種のコーヒーチェリーを元に作られたコピ・ルアックも販売されており、従来のコピ・ルアックよりもたいへん美味しいコーヒーに仕上がっていると評価されています。

このような贅沢なコーヒーは人生で一度は飲んでみたいものです。

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