世界第2位のコーヒー大国ベトナム

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ベトナムコーヒーの歴史 コーヒーの生産地といえば、まずは「ブラジル」や「コロンビア」などが浮かぶのではないでしょうか。

世界各国で生産されているコーヒーの生産量トップはブラジルで、その年にもよりますが世界総生産量のうち35%前後を占めています。

2位はコロンビアと思いきや、実は「ベトナム」で、総生産量の15%~20%を占めており、ロブスタコーヒーに限ればブラジルを抑えて世界トップの生産量です。ちなみにコロンビアは7%前後、インドネシアと同じくらいの生産量です。

ベトナムのコーヒー輸出量は2位ですが、2011年以降トップのブラジルと僅差で、近い将来コーヒー輸出量世界一になる日がくるかもしれません。

ベトナムでのコーヒー栽培は、ポルトガルやスペイン、フランスなどの宣教師が、17世紀から18世紀にかけて布教を行った際に持ち込まれたことが始まりとされています。

当初は小規模な栽培にとどまっていましたが、フランスがベトナムを占領・植民地化した1857年以降、大規模に生産されるようになりました。

もともとフランスは、市民をも巻き込んだフランス革命が勃発する1789年以前まで世界有数のコーヒー生産国で、植民地であったカリブ海諸島でコーヒーの生産が行われていました。

ベトナムでは、1862年6月の第1次サイゴン条約でフランスに南部3省を割譲してから、その2年後にはサイゴン(現ホーチミン市)に植物園を設立して、コーヒーの試験栽培が始まりました。フランスにより試験栽培されたコーヒーは「アラビカ種」で、フランス植民地であるカリブ海のマルティニーク島と南米のギアナに気候風土が似ているということで選定されました。

1883年6月のトンキン戦争によりフランスの保護領となった、ベトナム北部のトンキンでコーヒーの栽培が開始され、その後ベトナム中部にまで拡大していき、「アラビカ・ドゥ・トンキン」というブランド名でフランスに輸出されました。1925年以降、アラビカ種に加えて、ロブスタ種も生産されるようになり、こうしてベトナムは現在のコーヒー大国の座を掴むまでになりました。

「ベトナムアラビカ」はコク、香り、酸味のバランスがほどよく、甘みが特徴のマイルドな味わいです。

ロブスタ種の生産が主流のベトナムでは、アラビカ種は1%以下しか生産されておらず、たいへん希少性が高いコーヒーであることから、日本に流通する量はごくわずかです。

このため日本では、ベトナム産のコーヒー豆を専門店で見かけることは滅多にありません。一方、ベトナムロブスタは安価であることから、インスタントコーヒーや缶コーヒーのほかブレンド用コーヒーによく使われているので、口にする機会は意外と多いかもしれません。

ロブスタ種は味も香りも劣っているので普段ストレートで飲むことは少ないですが、ベトナムロブスタを美味しく飲む方法がいわゆる「ベトナム式コーヒー」です。深煎りのベトナムロブスタをフランス式のフィルターで抽出し、コンデンスミルク(加糖練乳)をたっぷり入れる独特の淹れ方です。いつかは本場ベトナムで味わいたいものです。

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