きまぐれ流自家焙煎「珈琲倶楽部」

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「コーヒーにはこだわりがあるんですよ」

そういう人は多いだろう。そのこだわりの形はさまざまだと思うが、私の場合は「その場で焙煎してもらう」だ。忘れがちだがコーヒー豆も生もの、新鮮さが命である。焙煎されてからずっと店先に置かれているような豆は、やはり味が落ちてしまう。私と同じこだわりを持つ方におすすめしたいのが、今回紹介する「珈琲倶楽部」だ。

 

東京都東大和市、市役所近くの青梅街道沿いに軒を構えるこの店は「きまぐれ流自家焙煎」と謳っている。通い始めて数年経つ私だが、どこらへんがきまぐれなのか、よくわからない。いつも朗らかな店主のことを指しているのかもしれない。少なくとも適当な仕事を「きまぐれ」などと言っているのではないことは確かだ。

 

オレンジ色の看板を見上げつつガラス戸をくぐると、焙煎機から漂うかぐわしい香りが迎えてくれる。そしてたくさんの樽に詰まった、中南米、アフリカ、東南アジアなど世界各地の生豆。その種類の多さに、どれを注文しようかいつも迷ってしまう。「コーヒーの王様」ことブルーマウンテンもあるが、高いのでいつも手が出ない。初めての方は200g1,000円あたりのものがお手軽でいいだろう。たまに2割増量の日があるのがありがたい。

 

ともあれ豆を注文、焙煎に入る(指定すれば粉に挽いてもらうこともできる)。そして渡されるチケット。コーヒーは250円からだが、豆を注文した場合、1杯無料でサービスしてくれるのだ。これがいつも楽しみで、私はだいたい月替わりの「今月のコーヒー」を選ぶ。もちろん作り置きのものを魔法瓶から注ぐようなことはしない。店員さんが1杯1杯、丁寧に淹れてくれる。絶妙な濃さ、酸味、苦み……完璧なバランスの飲み口に、プロが淹れるコーヒーは違うなと、私のような素人はいつも唸らされる。夏場だとアイスコーヒーも格別だ。

 

あとは焙煎機の音を聞きながら、のんびりと物思いにふける。喫茶室は横長の小さなテーブル席がひとつだけ。お世辞にも広いとは言いがたい。率直に言えば、ちょっと狭い。5人も座ればもういっぱいになってしまうが、満席になっているところはあまり見たことがない。しかしこれが、いかにも町の小さなコーヒー屋という風情で、グッとくる。

 

大手のチェーン店にはない落ち着きをここでは味わえる。簡単なランチメニューもあるので、時間に余裕のある方は頼んでみるといいだろう。最高のコーヒーと雰囲気のおかげで、いつもと違った充実のランチになることうけあいである。

 

最新式高速焙煎機の仕事は早く、コーヒーを飲み終えるうちにはもう済んでいる。しっかりパッケージされた袋を受け取り、会計し、ポイントカードを押してもらって、店を出る。そして最後の楽しみは、家に帰って袋にハサミを入れること。その瞬間に立ち上る、素晴らしい香り! この香りを嗅げば、コーヒー豆は焙煎したてにかぎると誰もが思うようになるはずだ。

単にコーヒーを飲みたい人はもちろん、私のように自分で豆を挽いて淹れる派には、文句のつけようのない店だ。ミル、フィルター、ドリッパー、ポットなど各種グッズも常備しているので、手挽きデビューしたい人は店員さんに相談しながら吟味するといいだろう。ついでにケーキでも買っていけば、家族や友達におおいに喜んでもらえるに違いない。

なお豆は通販(電話、FAX、ホームページ)でも購入できる。遠方にお住まいの方も、ぜひ一度は焙煎したての素晴らしさを味わっていただきたい。5,400円(税込み)以上の注文で送料は無料となる。

【店舗情報】

珈琲倶楽部
東京都東大和市中央4-1043-24
TEL:042-567-5651
URL:http://www.coffeeclub.co.jp/

営業時間 10:00~19:00
毎週水曜定休 第三水曜・木曜連休

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