天神橋筋六丁目駅の13号出口から徒歩約3分(189m)。
天神橋筋商店街の喧騒から一本路地を入ると、急にノスタルジックな風景が広がります。大正時代に建てられたという長屋の角の1軒に、控えめに掲げられたお店の小さな看板。引き戸を開けると、焙煎されたコーヒーのよい香りとともに店主さんの朗らかな声が迎えてくれます。
店の名が示すとおり、路地にひっそりと佇むお店です。大阪大空襲による焼失を免れ、100年以上にも渡る歴史を持つ長屋の一角。リノベーションした店内に入ると古き良き雰囲気に包まれます。テーブルの席が6席とカウンターの席が6席、と聞くとかなり小じんまりとした空間を想像してしまいますが、実際にお店の中にいると逆にゆったりとした広がりが感じられます。
自家焙煎されたフレッシュな豆を注文の度に挽いて、丁寧にドリップされたコーヒー。ソーサー代わりの素朴な布製コースターの上に置かれたカップから心地の良い薫りが漂います。看板メニューである「路地ブレンド」は中深煎りでかなりコクを感じます。しかし、コクの中にやわらかな甘みがあって、しかも雑味がないのでするすると入っていきます。バランスのとれた味わいで非常に飲みやすいです。
メニューは路地ブレンドと、ストレートのコーヒーが3種類(イエメン・モカマタリとパプアニューギニア、ゴールデンマンダリン)。加えて、そのときオススメの豆が「本日の気まぐれコーヒー」として提供されています。アイスコーヒーは2種類(マンデリンとトラジャサパン)。コーヒー以外のメニューは紅茶とミックスジュース、ビスコッティなどの焼き菓子があります。
メニューには、「酸味か苦味か」「コクかスッキリか」チャートで味の目安が示してあるので、あまり豆の種類に詳しくなくても好みの味のものを選びやすいです。もちろん、店主さんに相談するのもオススメ。味の特徴を教えてもらえるし、もし好みの味があったらそれを伝えてオススメのものを提案してもらうこともできます。店主さんの深い知識を聞いたうえでいただく一杯は、またいっそう味わい深く感じます。
店内には、カップルやグループのお客さんもみられますが、お一人様でゆったりとした時間を楽しんでいる姿も少なくありません。ほどよい距離感で店主さんが関わってくれるので、のんびりとすごしたい人にとっても、タップリ話をしたい人にとっても心地の良い時間がすごせます。
ついお店に滞在する時間が長くなって、コーヒーのおかわりをする人も。こちらでは、一杯目のおよそ半額でおかわりがいただけるので、1杯目と2杯目で豆の種類を変えて飲み比べをする人も多いようです。ミルクやお砂糖も用意されていますが、ストレートでも飲みやすいので、ぜひまずは何も入れずにひとくちブラックで豆そのものの味わいを感じてみるのがオススメです。
お気に入りの味に出会えたら、焙煎したての豆を買って帰ることも可能。家でも喫茶路地さんの味を楽しむことができます。ただ、家ではなかなかお店で飲むようには上手に淹れられないということも多いもの。淹れ方のコツを訊かれることも多く、お客さんからの希望も多かったために開催されたペーパードリップ教室は、告知してすぐに満席になってしまうほどの人気です。
店主さんによるセミナーは、そのほかにもコーヒー手焙煎教室などが開催されています。細かいコツまで教えてもらえるので、受講したその日に自宅ドリップや自宅焙煎デビューして、お店で飲むばかりでなく自宅でコーヒーを淹れる楽しみにハマってしまったという人も。
天神橋筋から一本路地を入った交通の便のよいところにありながら、看板に気づかなければ通り過ぎてしまいそうになるほどさりげなくお店があるので、地元でも「知る人ぞ知る」名店。どこか懐かしさを覚える居心地の良い空間、ゆったりとした時間が流れる中でいただく1杯は、慌ただしい日々の喧騒を忘れさせる至福のひとときです。
【店舗情報】
店舗名:自家焙煎珈琲 喫茶路地
住所:大阪府大阪市北区浪花町9-5
電話番号:06-6371-8828
http://alley269.wixsite.com/roji
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