今回ご紹介するのは、喫茶店ではなく喫茶室です。
ノスタルジックな街並みの一角にあるこのお店。もともと1階にある老舗書店「長崎次郎書店」の事務所だった場所をリノベーションして喫茶に生まれ変わりました。
このため、喫茶としての歴史はあさいものの、建物、空間そのものに味は、他店にはまねすることができない、このお店独自のもの。
太いしっかりとした梁や3連のアーチ窓、とても細かく美しい欄間など、建築当時のものを再利用しています。その空間からは、大正時代から脈々と流れるその時の流れを感じずにはいられません。
外観は、緑色の瓦屋根でありながら、石や幾何学模様でデザインされた西洋の文化以外も感じさせる趣き。城下町であったことを思い出させてくれます。
実は、国の登録有形文化財でもあるこちらの建物。そのため、この建築物目当てに関東から来訪される方も多いのです。熊本城近く、市電の駅の目の前という立地も、市民だけでなく観光客も多く訪れます。
建物を正面に、右手のほうにある木製の階段を駆け上がって2階へ。もちろん、1階は有名な書店ですので、お目当ての本を買い込んで上に上がっていくのもおすすめです。
お店に入るとダークブラウンのアンティークのテーブルに椅子、35席とすこし大き目の空間。落ち着いた空間に映える、アーチ型の窓。そしてその先にみえる路面電車。
窓側があいていたら、ぜひとも座ってみませんか?
路面電車は、県民にとっては市民の足。でも、こうして2階からみると、いつもと違うロケーションにほっと一息付きたくなるのです。
そしてこちらのおすすめは、窓側で路面電車をみながらいただくリントンピーベリーです。コクがあるコーヒーですが、苦みはすくなくこの建物、空間にあうと思います。
ゆったりとした時間なぜか、ここだけは別の世界なのかと感じるほど。オリジナルどらやき「Jどら」や阿蘇の有名な縁結び最中もここでなら、コーヒーとともにいただけます。
メニュー選びに迷ったら、本日のおすすめコーヒーとともにいただく新町スイーツセット(810円)もおすすめ。近くの和菓子やさんで丁寧につくられた和菓子とともにいただくコーヒーも捨てがたいです。
しょうゆをつかったチーズケーキも、コーヒーによく合います。一杯一杯丁寧にいれられたコーヒーと、程よいあまさの和のスイーツ、そしてカタンコトンといったリズムも心地よく癒しのひと時に、心が落ち着きます。
夏目漱石もこの道を通ったのか、森鴎外もこの道を通ったのか・・なんて妄想も。歴史好きにはたまりませんね。
そして、もし予算と勇気があれば、ルワックコーヒー(2160円)を。幻のコーヒーとの別名もあります。
ジャコウネコが食べたコーヒー豆・・・分かりやすくいうと、ねこちゃんの糞として排出されたコーヒーの実、で淹れたコーヒーです。
また、軽食メニューもあります。喫茶室ですので、数は限られていますが、ホットサンドやナポリタン、そして九州のソウルフードである「だんご汁」といった定番だけど無性にたべたくなる味がそろっています。
ギャラリーやミニコンサートなどイベントもさかんに行われていますので、ふらっと立ち寄るにもおすすめ。
コーヒー好き、歴史好き、建築好き、電車好き、あなたの好きを感じながらおいしい時間をまったりすごしてみませんか?
そうそう、営業時間、26分なんて端数なんですが間違いではありませんよ(笑 ヒントは創業者のジローさんです。
開店日も26日にするなど、かなりのこだわりようです!
〇長崎次郎喫茶室
【HP】http://jirokissashitsu.otemo-yan.net/
【住所】熊本県熊本市中央区新町4-1-19 長崎次郎書店の 2F
【電話】096-354-7973
【店休日】毎週水曜日、ほか元旦や藤崎宮秋季例大祭などの日もお休みです。
【営業時間】11:26~18:26
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