フランスのコーヒー事情

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どんな飲み物よりもコーヒーが大好きな私は、一日中コーヒーを飲みます。産地、ブランドはそれほどこだわりません。美味しければどんなコーヒーでもよし。

 

朝から夜まで、多い日は5回ほど飲みます。特に好きなのは、モーニングコーヒー。コーヒーの芳しい香りで朝が始まるなんてなんとも素敵な気分。夫も同じ考えです。私たちはたとえ旅先でも、できるだけキッチン付きのホテルを予約するようにして、毎朝自分でコーヒーを入れて飲めるようにしたい!というコーヒー好きの夫婦です。

私たちは様々な事情から、日本を離れフランスでしばらく過ごすことになり、フランスの安いアパートメントを借りました。様々な準備に追われ、無事に渡仏、引越しを済ませ、やっと荷物の整理も落ち着いた頃…やはり、疲れた時に欲するのはコーヒー。夫と共に、静かにドリップで淹れたコーヒーを飲みながら、ホッと一息。この時間が何とも言えず、どんな一時よりも、贅沢なのです。

ここフランスの人々は、日本の人々と同じようにコーヒーが大好きです。でも、フランス人にとってのコーヒーつまり『カフェ』とは、日本のコーヒーとは少し違います。

 

彼らにとってのコーヒーはエスプレッソのこと。イタリア人にとってもそうですが、このエスプレッソはとても小さいカップに入っています。そしてお店で注文して出てくるコーヒーソーサーには、いつも決まって何か一つ、可愛いお菓子が添えてあります。たとえばヌガー、それともビスケット、それともチョコレートなど。

そのことをまだ知らない時に、少し喉を潤したくて入ったオシャレなカフェで、注文したコーヒーが小さくてビックリしました。思わず小っさ!と叫んだほどです。どうりで安かったわけだ…と思いました。ちなみに、コーヒーの販売機でも、小さなカップで出てきます。あるいは、大きめのカップ3分の1に、エスプレッソが申し訳なさそうに入って出てくることもありました。とにかくフランスで、オーソドックスなコーヒーとはエスプレッソのことです。喉を潤したい時には向かないかもしれません。食後の一杯とか、甘いものと一緒に少し飲みたいと時に、私は飲んでいます。あの苦さは癖になります。

だからといって、フランスの人々は苦いのがただお好き、と言うわけではありません。むしろ、甘いのが大好き!エスプレッソつまり『カフェ』を注文すると、ファーストフードでは大抵お砂糖が2本付いてきます。小さなエスプレッソに、こんなに入れないんですけど…と突っ込みたくなるし、日本だったら『お砂糖とミルクはお付けいたしますか?』と聞かれますよね。きっとフランスではほとんどの人がお砂糖をたっぷりと入れたいんだなぁ、と思いました。

フランスの人々のコーヒーの飲み方は、バラエティに富んでいます。もちろん小さなエスプレッソだけでなく、『カフェ・グロン』と呼ぶ大きいサイズのエスプレッソや、カフェオレ、色々なフレーバーのコーヒー、カプチーノやアメリカンコーヒーなども人気です。そして、それらのお好みのコーヒーに色々とトッピングするのも人気なようです。若い人たちの間でよく見かけるのは、たっぷりと生クリームを乗せたコーヒー。その生クリームの量が、半端な量ではありません。5センチほど、盛ってくれます。一度、頼んだことがあるのですが生クリームだけで2ユーロも追加されてしまいました…。どれほど甘々になるのかと思いきや、クリームの味は甘みが付いておらず、濃厚な牛乳の味。

 

どうやら、コーヒーに入れるミルクのような役割を果たしているようです。こってりしてしまうけれど、なかなかクリーミーで美味しいコーヒーになりました。他にも、アーモンドやショコラパウダー、ジンジャーシロップ、はちみつなどをコーヒーに入れるのも人気です。素敵なカフェでコーヒーを頼もうとすると、メニュー表にラインナップが多すぎて迷ってしまうこともしばしば。

フランスのコーヒー事情で他にも驚いたことがあります。それは、コーヒーを甘々に味付けて飲みながら、一緒に甘々なお菓子を食べるのが好き!というところです。フランス人の友人と一緒に我が家でお茶をした時、『何が飲みたい?』と聞くと友人は『ショコラ』との返事。ショコラとは、日本で言うココアのことです。『でも、お茶受けがドーナツとかチョコレートとかだよ?甘い飲み物でいいの?』と思わず聞くと『だから良いんじゃん!甘いのに、甘いのを合わせるのが最高!ぴったりだよ!』というようなお返事が返ってきました…。

 

そういう価値観もありか。と思いましたが、日本の多くの人とは違う考えかもしれません。日本だと、大抵苦いコーヒーを飲みながら甘いお菓子、というのがゴールデンコンビだと考えられているように思います。日本でも時々、甘い飲みもに甘い食べ物を合わせるのが好きな方もいるようですが、フランスでは多くの方がそのコンビを好むようです。私や夫は甘すぎるのは苦手なので、例えば甘いケーキがあれば苦いコーヒーを飲みたくなります。こうした違いも、なかなか面白いですね。

日本よりもフランスのコーヒーの方が、香りが良くて美味しい気がするのは私だけでしょうか。フランスのお洒落な雰囲気や、景色なども関係しているのかもしれません。今後も美味しいコーヒーを味わいながら、生活にゆとりのある時間を添えていきたいと思っています。

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